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もののけ姫の包帯の人とは?病気がハンセン病である深い理由を徹底解説!

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もののけ姫の包帯の人とは?病気がハンセン病である深い理由を徹底解説!

スタジオジブリの名作「もののけ姫」を観る度に、タタラ場で全身を包帯に巻いた人々の姿が気になっていませんか?彼らの正体について詳しく知りたいと思っていたが、断片的な情報ばかりで満足できる答えが見つからない…そんな疑問をお持ちの方も多いでしょう。

実は、この「包帯の人」たちには深い社会的背景と、宮崎駿監督の強いメッセージが込められています。この記事では、宮崎監督自身が2016年に明かした真実を踏まえながら、包帯の人の正体から込められた社会問題への洞察まで、徹底的に解説していきます。

もののけ姫の包帯の人の正体:ハンセン病患者

結論から申し上げると、もののけ姫に登場する包帯を巻いた人々は「ハンセン病患者」として描かれています。これは長年ファンの間で推測されていましたが、2016年1月に行われた「ハンセン病の歴史を語る人類遺産世界会議」で宮崎駿監督自身が公式に明かしました。

作中では直接的に病名が語られることはありませんが、エボシ御前が彼らの病気を「業病」と表現しており、これはハンセン病を指す歴史的な呼称です。業病とは、「過去世の悪業の報いとして受ける病気」という意味で、当時の人々がハンセン病に対して持っていた偏見を表しています。

宮崎駿監督がハンセン病を描いた理由

多磨全生園との出会いが創作の原点

宮崎監督が多磨全生園(東京都東村山市にあるハンセン病療養所)に初めて足を踏み入れたのは「もののけ姫」の構想中のことでした。「引っ越しのためトラックに所帯道具を積んで所沢街道を走っていたときに初めて多磨全生園を目にした」のが最初の出会いだったといいます。

資料館で熱い湯飲みを持つための木のはさみなど、そこに生きてきた人たちの証拠が山のようにあり、監督は「本当に打ちのめされ、おろそかに生きてはいけないと本当に思った」と語っています。

「侍と百姓だけの時代劇」への反発

宮崎監督は「侍と百姓だけの時代劇が取りこぼした人を描こうとした。もっとたくさんの人たちがこの国で生きてきたのに、あいかわらず武士と百姓だけで物語をつくるのは間違いだろうと思った」と制作動機を説明しています。

これは非常に重要な視点で、歴史の表舞台に立てなかった人々にも光を当てるという、宮崎監督の深い人間観察力と社会への洞察が表れています。

ハンセン病の歴史的背景と社会問題

ハンセン病とは何か

ハンセン病とは「らい菌」が引き起こす皮膚や神経の慢性疾患で、潜伏期間は5年ほど、なかには20年かけ症状が進む場合もあります。感染力は弱く、ほとんどの人は自然の免疫があり、「最も感染力の弱い感染病」とも言われています。

項目詳細
病原菌らい菌(Mycobacterium leprae)
主な症状手足の神経麻痺、皮膚のただれ、顔面の変形
感染力非常に弱い(最も感染力の弱い感染症の一つ)
治療法確立戦後にプロミンが開発されて完治可能に
現在の状況日本での新規感染者は年数名程度

日本における隔離政策の悲劇

日本では1907年から国の意向としてハンセン病患者を隔離し、治療法も確立されておらず、戦争中に国力を失うことを恐れての隔離策でした。この政策の問題点は以下の通りです:

  • 家族の元を引き離され、塀に囲まれた隔離施設に収容され、死ぬまでその中で暮らし続けないといけない運命を国に決められた
  • 1949年から96年までハンセン病を理由に不妊手術をされた男女は1551人、堕胎手術の数は7696件に及んだ
  • 「らい予防法」が廃止されたのは1996年で、救済のための法律が施行されたのは2009年という最近のこと

タタラ場でのハンセン病患者の描写

エボシ御前の革新的な取り組み

作中で「病者」と呼ばれる人々は、住民たちとは別の敷地内で生活していますが、エボシ御前に依頼されて石火矢と呼ばれる軽量の銃を改良したり、鉄を打ったりする姿も描かれています。

エボシだけが腐ってしまった身体を拭いてくれたり、包帯を変えてくれた。自分たちを「人」として扱ってくれた、唯一の存在だったのです。これは当時としては極めて画期的で人道的な対応でした。

「長」の重要なセリフ

包帯の人々のリーダーである「長」は、アシタカに向かってこう語ります:

「生きることは誠に苦しく辛い。世を呪い、人を呪い、それでも生きたい」

このセリフには、ハンセン病患者が味わってきた絶望と、それでも諦めない生きる意志が凝縮されています。宮崎監督は「この痣はハンセン病とまったく同じです。そういう主人公を作りながら、ハンセン病を描かないわけにはいかないと思いました」と語っています。

シシ神による治癒シーンの深い意味

希望のラストシーン

「もののけ姫」の最後にシシ神が復活した後、大きな身体から大量の液体が周囲に流れ出すシーンで、ハンセン病患者らしい人たちが、自分の手のひらを見つめて驚いていました。包帯がずれて綺麗になった自分の手を見て驚く姿が描かれています。

これはシシ神の力によってハンセン病が治癒した瞬間を表現しており、単なるファンタジーではなく、「人と森の対立から共存に至るまでの葛藤」の中で「人間側にも希望をもたらしたラスト」として描かれています。

SNSやWEBでの反響と考察

「もののけ姫、包帯巻いてる人たちはハンセン病患者を描いているといわれていて。それは知ってはいたんだけど。ラストの突風でみんなの怪我とかが治るシーンで、包帯巻いてる女性の顔が見えるのよ。何十回も見てる作品なのに去年劇場で見て初めてそこに気づいて。思わずグッときたことを思い出した。」

引用:Twitter投稿より

このような観察は、作品の深層に気づいたファンの感動的な体験を示しています。

「タタラ場で働く病者が、何の病気であるか映画の中では描かれていませんが、ハンセン病の患者たちです。宮崎駿監督は講演会で、こうした病気を持つ人たちがいたことを知ってほしくて、『もののけ姫』でハンセン病患者を登場させたと話しています。」

引用:Twitter投稿より

現代への警鐘:差別と偏見への洞察

風化する記憶への危機感

近年では、療養所に暮らす患者らの高齢化などにより「ハンセン病患者が差別と偏見を受けてきたという事実が風化しつつある」という問題があります。全生園の入所者は高齢化しており、平均年齢は84歳を上回り、最大1500人以上だった入所者数も、190人余りに減っている状況です。

現代社会への示唆

令和の日本でも感染症が流行していましたが、そこから生まれる差別思考や格差などに宮崎監督は着目し、それを間接的に描いていたのです。エボシ御前が、ハンセン病患者に対しても平等に接している様子は、当時の社会情勢にあった差別思考に対する批判の意味が込められていると解釈できます。

作品に込められた「生きろ」のメッセージ

キャッチコピーの真の意味

もののけ姫のコピー「生きろ。」の前には、いろいろな悲しみ、苦しみ、辛さ、怒り、絶望がある。それでも生きるというメッセージが込められています。これは単なる励ましではなく、社会から排除された人々への深い共感と連帯の呼びかけなのです。

アシタカの呪いとハンセン病の共通性

アシタカの腕の呪いのあざは「非合理なものを抱え込まざるを得ない運命」であり、これはハンセン病を抱えて生きていく人々の運命とも重なると監督は説明しています。完全には消えないあざと共に、アシタカはタタラ場で生きていくという設定は、ハンセン病と向き合って生きる人々への深い理解を示しています。

まとめ

もののけ姫に登場する包帯の人々は、宮崎駿監督が長年にわたって多磨全生園に通い、ハンセン病患者の方々と交流する中で生まれた、深い人間理解に基づく描写でした。

監督は「業病といわれた病を患いながらちゃんと生きようとした人たちのことを描かなければいけない」という強い使命感を持って、この重要なテーマを作品に織り込んだのです。

現代においても、様々な理由で社会から排除されたり偏見を持たれたりする人々が存在します。もののけ姫の包帯の人々の描写は、そうした人々への理解と共生の道筋を示す、時代を超えた普遍的なメッセージとして、私たちに語りかけ続けています。

エボシ御前が示した「人として生きられる社会・環境を作る」姿勢は、現代の私たちが目指すべき共生社会のあり方を示唆しているのではないでしょうか。

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