映画『もののけ姫』を観終わった後、多くのファンが抱く疑問があります。それは「サンとアシタカはその後どうなったの?」「結婚するの?」という、二人の未来に関する想いです。ラストシーンで別々の道を歩むことを決めた二人ですが、実は宮崎駿監督や公式資料には、その後の物語が詳しく語られていました。この記事では、サンとアシタカのその後について、公式見解から都市伝説まで、あらゆる角度から徹底解説していきます。
サンとアシタカのその後の結論:愛し合いながらも別々の場所で暮らす
結論から言うと、サンとアシタカはその後も愛し合い続けますが、結婚という形ではなく、それぞれ森とタタラ場で別々に暮らしながらも良い関係を続けていくことになります。宮崎駿監督は、同じく『もののけ姫ロマンアルバム』のなかで、アシタカとサンのその後について「アシタカはタタラ場に住んで」「サンは森に住む」と綴っており、「タタラ場の理屈で言うと、生きていくためには木を切らなければならない。だけど、サンは切るなっていうでしょ。その度に突っつかれ生きていくんだな、アシタカは大変だな」と、サンとタタラ場の人びととの間で苦悩するアシタカの未来を思い浮かべていました。
アシタカのプロポーズシーンは絵コンテに存在していた
実は、映画本編では描かれていませんが、アシタカはサンにプロポーズしていたという事実があります。
『もののけ姫 スタジオジブリ絵コンテ全集11』のなかには、「アシタカがサンにプロポーズしている」というコメントがついており、サンの「アシタカは好きだ でも人間を許すことはできない」という言葉は、実はアシタカのプロポーズに対する返答だったのです。
絵コンテには、サンへのプロポーズの流れが「もののけ姫」の絵コンテにもはっきりと書かれていますが、本編ではセリフはありませんでした。「もののけ姫」は「生」をテーマにした壮大な物語であるため、恋愛を感じさせるシーンは極力省かれているものの、2人が信頼して愛し合っている点がよく伝わります。
プロポーズへのサンの答えと、アシタカの覚悟
サンの言葉に対し、アシタカは「それでもいい サンは森で 私はタタラ場で暮らそう ともに生きよう」と答えており、その言葉を聞いたサンが、本編を通してずっと険しかった表情をくずし、おだやかな顔つきになった印象的なシーンがあります。
宮崎駿監督が語る「苦難に満ちたその後」の真実
宮崎駿監督はインタビューで、サンとアシタカの関係について非常にリアルな見通しを語っています。
宮崎監督は「サンの最後の言葉は、答えが出せないままにアシタカに刺さったトゲなんです。そしてアシタカは、そのトゲとも一緒に生きていこうと思っている。あの後、アシタカはタタラ場に住んで、サンは森に住むんでしょう。タタラ場の理屈から言うと、生きていくためには木を切らなければならない。だけど、サンは切るなっていうでしょ。その度に突っつかれて生きていくんだな、アシタカは大変だなと思って(笑)。でも、それはまさにこれから生きていく人類の姿そのものなんですよ。」と述べ、「彼らはずっと良い関係を続けていくだろうと思います。それから、サンが生きていくために、アシタカはいろいろな努力をするだろうと思います。同時に、タタラ場の人々が生きていくためにも、大変な努力を払うだろうと。そのために、アシタカは引き裂かれて、傷だらけになるだろうと思います。それでも彼は、それを曲げずに生きていこうと思って、両方を大切にしようと思い続けるだろう。」
さらに監督は具体的なエピソードも語っています。「ようやく、これで生きることができるっていう。これから、タタラ場と、サンのあいだに入って、切り刻まれながら生きるしかない。その女の子と、自分の国に逃げたって、何の解決もつかないから。ここで生きていくって決めると、そうするとタタラ場のほうは、木を500本切りたいって言うでしょ? で、サンのほうに行って、「ちょっと、木を切んなきゃいけないんだけど」って言うと、ビビビって刺されてね、「じゃあ、250本で……」って(笑)。「生きる」って、そういうことですよね。」
アシタカが故郷に帰らない理由
多くのファンが疑問に思うのが、「なぜアシタカは呪いが解けたのに故郷のエミシの村に帰らないのか」ということです。
実は、アシタカは帰りたくても帰れないのです。アシタカは物語冒頭、タタリ神に矢を射って、呪いを受けてしまいます。襲われたカヤたちを助けるためではありましたが、神を殺すのは村の掟に背くことで、アシタカは村を追放されてしまった身だからです。
カヤとの関係の清算
宮崎監督は「いつもカヤを思おう」いうアシタカのセリフに関しても、「カヤが(アシタカに)未練を残してしまうと辛いだろう(とアシタカは思った)と。(中略)アシタカはこの村に戻りませんから、永久の別れになるだろうと、ハッキリ言ってあげないとと思っている」と説明しており、宮崎監督は、アシタカが村を出るときに頭の上で結っていた髷を切ったことに関して、「あれはこの村では、もう人間でなくなることを表しているんです」と述べ、カヤが小刀を渡す場面では、彼女がアシタカとは二度と会えないことを悟っていることも説明しています。
洞窟でのサンとアシタカの関係
ファンの間でしばしば話題になるのが、洞窟でのサンとアシタカのシーンです。
怪我をして何日も寝込んでいたアシタカを、サンが洞窟で看病していました。アシタカは、目覚めて起き上がると、隣で寝ているサンを見ます。そのとき、サンの寝方が無防備で脚も見えていたのですね。そのシーンを見て、プロデューサーの鈴木敏夫さんは、「この時点で、二人はセックスしてますよね?」とド直球で宮崎駿監督に尋ねたそうです。宮崎駿監督が鈴木敏夫プロデューサーに問い詰められて答えた内容は、「そんなの、わざわざ描かなくてもわかりきってるじゃないですか!!」だったそうです。
都市伝説:サンとアシタカの子孫説
興味深い都市伝説として、「サンとアシタカの間に子どもが生まれるという都市伝説もあり、サンとアシタカの子孫こそが、『千と千尋の神隠し』の千尋」という説があります。この都市伝説の根拠は、『千と千尋の神隠し』のシーンで、千尋が湯婆婆と契約を結ぶために、自分の名前を書くシーンにあり、千尋は「荻野千尋」と書くべきところを、「荻」の字の「火」の部分を「犬」と書いてしまっていたようで、頭の片隅に『もののけ姫』に登場する「山犬」の記憶があったから、無意識に犬と書いてしまったのではという説です。
SNSで話題の投稿とファンの反応
今日の一句 アシタカよ サンのことを ハグしすぎ!
(今日、もののけ姫を見た感想です 僕もそでだけの服を着たらアシタカのようにモテるのかな笑)
引用:https://up-tsukuba.com/mononoke-sonogo/
『もののけ姫』 「アシタカがカヤを裏切って小刀をサンに云々」とよく言われるけど、アシタカがサンを守ろうとしたのってサンにカヤの面影を見たためだろうし全然アリです。
引用:https://kumayublog.com/mononoke-ashitaka-san/
「カヤに貰った玉の小刀をサンにあげるなんて酷くない?」という意見がありますが、アシタカはシシ神に呪いを解いてもらえず死ぬ運命にあります。なので、せめてサンには「生きていて欲しい」という願いを込めて玉の小刀を送ったのではないかと個人的に思っています
引用:https://sottyann.com/why-ashitaka-give-sun-wifes-knife
もののけ姫がトレンドに入ってますね もののけ姫で1番グッとくるのは、『私もだ。いつもカヤを想う』と言って大切な玉の小刀を受け取ったアシタカが、あっさりそれをサンにあげて、宮崎駿が『男なんてそんなもん』と言ったところ 大好きです。もののけ姫。
引用:https://sottyann.com/why-ashitaka-give-sun-wifes-knife
玉の小刀に込められた深い意味
「玉の小刀」について、ジブリ公式本によると、「黒曜石のナイフのこと。黒曜石はガラス状に薄くさけることから石器として珍重され、縄文時代の重要な交易品だった。アシタカの村では、乙女が変わらぬ心の証に、異性へ贈るものとされる」という意味が込められています。
アシタカが玉の小刀をサンに渡した理由について「アシタカが自然との共生を達成できないことと同時に、大切にしてきたものとの決別を象徴したのだと思う」と記されており、つまり、アシタカは玉の小刀をサンに渡すことで、まで自分が大切にしてきたものときっぱり決別した、ということです。
現代に通じる「共存」の課題
宮崎監督が語る「だから、彼の生き方は、私たちが今の時代を生きていく生き方に、共通するんだと思うんです」という言葉は、現代社会にも通じる深いメッセージを含んでいます。
環境保護と経済発展の両立、異なる価値観を持つ人々との共存など、アシタカが直面する課題は現代の私たちにも重なります。
「たとえ選んだ道が険しく困難でも、その難しさの中で必死に”生き続けて行くこと”が大切」というテーマが隠されており、サンとアシタカの「その後」についても、宮崎駿の世界観がよく出ているように思います。
項目 | 詳細 |
---|---|
アシタカの住居 | タタラ場 |
サンの住居 | シシ神の森 |
関係性 | 愛し合っているが人間を許せないサン |
アシタカの役割 | 森とタタラ場の仲裁者 |
将来の見通し | 苦労の多い生活だが両方を大切にし続ける |
プロポーズ | 絵コンテには存在(本編ではカット) |
別の視点から見たサンとアシタカの関係
サンはというと、モロがいない今、森の代表をしているのかもしれません。元々、山犬を従える力を持っていますし、暴走したシシガミ様をアシタカと共に止めた実績からすでに森の民が彼女を認めていることでしょう。「人間怖い」の森の民ですが、サンが人間であり、また味方であり力がある以上、下手に動けませんからね。ってことでサンは森の代表となり、森を守りながらアシタカと会うことを楽しみにしているのですね。
まとめ:永遠に続く愛と葛藤の物語
もののけ姫のサンとアシタカのその後は、単純なハッピーエンドではありません。二人は深く愛し合いながらも、それぞれの立場と信念を貫き、困難に立ち向かい続ける道を選びました。
結婚という形ではないものの、生涯にわたって愛し合い、支え合う関係を築いていくのです。アシタカは森とタタラ場の間で引き裂かれながらも、両方を大切にし続け、サンは人間への複雑な感情を抱きながらも、アシタカとの愛を育んでいきます。
宮崎駿監督が描いたこの物語は、現代を生きる私たちにとっても重要なメッセージを含んでいます。異なる価値観を持つ者同士が共存していくことの困難さと尊さ、そして愛があれば乗り越えられる希望を教えてくれているのです。
サンとアシタカの「その後」は、決して楽な道ではありませんが、二人が選んだその道こそが、真の「生きる」ということなのかもしれません。ファンの心に永遠に残り続ける、美しくも深い愛の物語として、もののけ姫は今なお多くの人々に愛され続けているのです。