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もののけ姫のこだまは妖精なの?正体と秘められた深い意味を徹底解説!

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もののけ姫のこだまは妖精なの?正体と秘められた深い意味を徹底解説!

もののけ姫を見ていて、あの白い小さな生き物が気になって仕方ない!という方は多いのではないでしょうか。カラカラカラと首を動かす仕草が特徴で、言葉を発することはありませんが、その神秘的な存在感は多くの人を魅了し続けています。この記事では、そんなこだまの正体や妖精としての意味、そして宮崎駿監督が込めた深いメッセージについて詳しく解説していきます。

こだまの正体は木に宿る精霊!妖精としての意味とは

コダマについては公式本「ロマンアルバム もののけ姫(徳間書店)」にて設定を確認でき、一種の精霊のようなもので、豊かな森に住む存在として描かれています。漢字で表記すると「木霊」。文字通り、木に宿っている精霊なのです。

日本古来の木霊信仰との深いつながり

日本では古くから、樹木のような自然界に存在するものには神的な力が宿っているとする信仰がありました。木霊(こだま)は古事記にも記されている日本でもかなり昔から信じられている精霊で、ブンタンカ国際大百科事典にも記されている樹木崇拝の一種で信じられている存在です。

登山などで経験することも多い山びこをこだまと呼んでいるのは、木の精霊(こだま)が返答していると考えられているからなんですね。つまり、もののけ姫のこだまは、日本人が古来から信じてきた森の妖精的存在を視覚化したキャラクターといえるでしょう。

屋久島の「木霊の森」からの着想

『もののけ姫』の舞台は鹿児島県の屋久島であると、スタジオジブリは公言しており、この屋久島には「木霊の森(こだまのもり)」という森が存在しています。その森で写真を撮ると、まさに『もののけ姫』のこだまのような白くて小さい「なにか」がたくさん映るという都市伝説もあるとされています。

宮崎駿監督ははじめ、コダマのデザインがなかなか思いつかなかったそうです。”森に何かいるのが見える”というスタッフによってキャラクターデザインが考えられたそうで、実際に森で霊的な存在を感じ取った人の証言が基になっているのです。

なぜカタカタと首を振るの?3つの有力説を検証

こだまの最も特徴的な行動である首振りには、3つの有力説があります。

①呼吸音説

樹木の精霊であるこだまは、植物同様に呼吸をしていると考えられます。そして首と頭の間にある空洞から呼吸をしており、その時にカタカタと音がしているのではないかという説です。植物は気孔という穴で空気の入れ替えを行っている。こだまの代表的な顔のシルエットが気孔に代替するものとも考えることもできるという観点からも興味深い説です。

②言葉・コミュニケーション説

人間には理解できない言葉で、こだまたちの間で何か言葉を話しているのではないかと言われています。というもの、デイダラボッチ(シシ神)の出没で、こだまたちは一斉にカタカタと大きな音を出しました。動物は大抵の場合共通した声がある。同様にこだまも『カタカタ』という音を鳴らすことで通話、言葉を発しているのではないかという考え方です。

③存在をアピールする習性説

この説は、三つの中でも一番有力とされています。というのも、こだまはデイダラボッチの出没のほかに、ケガをしたアシタカが運ばれているシーンでも大きな音を出していたので、周りに自分たちの存在を知らしめようとしていたのかもしれません。

蝉の中で鳴くのはオスのみ。メスに自分をアピールするために鳴きます。自分の存在を示すために鳴いているのと同様に、こだまも自分たちの存在を示すために音を出している可能性が高いのです。

実際の音の作り方

興味深いことに、スタジオジブリの公式ツイッターによれば、こだまが木の精霊ということから、「木製のカスタネット」を使ったそうです。まさに木の精霊にふさわしい音の作り方ですね。

宮崎駿監督が込めた深いメッセージ性

自然そのものの価値を表現

こだまには宮崎監督の深い思想が込められています。自然はある意味で役に立たないものだらけですよね。だら環境の問題というのは、人間の役に立つから残そうというんじゃなくて、役に立たないから残そうというふうに僕らの考え方を転換しないと解決しないと思うという監督の考えが、こだまというキャラクターに表現されています。

こだまは、善でも悪でもなく、何かの役に立つということもありません。目撃者として、ただそこに存在します。要するに、「役に立つ」「役に立たない」という発想とは違う形で自然を描くキャラクターなのです。

木々の命の重みを視覚化

宮崎駿監督いわく、コダマの存在によって木々に宿るいのちの重みを表現しているそうです。物語の終盤、破壊されていく森の中で、こだまたちの死体が大量に降ってくるシーンがあります。木々の精霊である彼らは、木が死んでしまうと生きていくことができないのでしょう。キャラクター化することで木々の命の重みをわかりやすくするという宮崎監督の意図がよく表れています。

森の再生と希望の象徴

その後、荒廃しきった森に新芽が芽吹き、その中に一匹だけこだまがいる、というシーンで物語は終わります。ここで新たにこだまがいるということは、ここから森が再生していくということを表していると考えられます。

驚きの事実!こだまはトトロに進化する?

実は、もののけ姫のこだまには驚くべき裏設定があります。「コダマは将来トトロになる」これはしばしば噂される裏設定ですが、宮崎駿監督公認の設定です。

宮崎監督の公式発言

実際に『「もののけ姫」はこうして生まれた』のインタビューの中で宮崎駿監督が明言しています。「チビで一匹でいいから、コダマがノコノコ歩いてるやつ、入れてくれって。それがトトロに変化したって(笑) 耳が生えてたっていうの、どうですかね。そうすると首尾一貫するんだけど」と語っています。

時代設定から見る進化の可能性

『もののけ姫』の時代は室町後期(1400年代)で、トトロの時代は1950年代とされています。『もののけ姫』で最後に登場した小さなコダマはトトロの時代には500歳~600歳程度と考えられます。

二木さんたっての希望で、チビ1匹でいいから、こだまがのこのこ歩いてるやつ入れてくれっていうね。それがトトロに変化したって(笑) 耳が生えていたってことにすれば、そうすると首尾一貫するんです。なんだか、わけわかんないけど(笑)という監督の発言からも、この設定への愛着が伝わってきます。

SNSでの反響と考察

ファンの感動的な反応

小さなひとりぼっちのコダマが強い印象を残すこのシーン。宮崎駿監督には、この小さなコダマが後のトトロになるのだという考えがあったそうです☺️


引用:アンク@金曜ロードショー公式

まずは本作のマスコットキャラ(?)的存在である “こだま”。特に何するわけでもなく、森の中でただ黙って首を揺らしている彼らは見ているだけで面白い。怪我人を背負って森を歩くアシタカを真似してこだま同士でおんぶをしてみせる様子は、彼らが無邪気な証


引用:どいひー映画日記

多様な解釈と愛され続ける理由

ジブリ『もののけ姫』を通じて、世界中で人気を博した「こだま」。グッズ展開も豊富で、暗闇で光ったり揃えるとかわいいミニフィギュアや置物なんかも買いあさってた記憶があります


引用:みんなのランキング

もののけ姫というとコダマの姿が思い浮かびます。謎の存在、精霊のようなものでしょうか。透明感があり、シシ神さまだけでなくこんな存在も本当に森にいてくれたらいいのになと思わせられました


引用:みんなのランキング

こだまに見る日本的アニミズムの表現

万物に宿る魂の概念

こだまは日本古来のアニミズム(万物に霊が宿るという考え方)を現代に伝える重要な役割を果たしています。もののけ姫の舞台は日本の中世、室町時代です。室町時代の人々はあらゆるものに神が宿ると考えられていた時代です。古来から木々に宿る精霊や精霊が宿った樹木のことを木霊(こだま)と呼んでいました。

現代への警鐘としての意味

こだまとして樹木の精霊を具現化することで環境破壊の残酷さを表しているとも考えられます。こだまにはモデルがいるとされ、屋久島の木霊の森だとしています。それは命の重さを伝えるために樹木に宿る精霊をビジュアル化することで、森の豊かさを表現するためにもこだまは活躍しているといえるでしょう。

こだまの愛らしいシーンと象徴性

おんぶシーンに込められた意味

こだまがおんぶするシーンはアシタカが怪我をしている人を必死で背負っている時にこだまがおんぶしているところをアシタカが見つけます。このシーンは、こだまたちの無邪気さと同時に、人間の行動を見て学ぶ知性があることを示しています。

森の豊かさの指標として

作中の登場人物の一人が、こだまを見て、「こいつらがシシ神を呼ぶんだ」と恐れたり、「好きにさせておけば悪さはしない。森が豊かなしるしだ」というアシタカのセリフもあります。これらの台詞から、こだまは森の健康状態を示すバロメーター的存在として描かれていることがわかります。

制作背景に見るこだまへの愛情

監督の詩に込められた想い

宮崎駿監督が、『もののけ姫』の音楽を担当した久石譲さんに作品のイメージを伝えるために書いた詩『コダマ達』によれば、「カタカタ と笑って」「暗がりの中で 笑っている」とあります。

「現れたと思ったら カタカタカタカタ と笑って もう消えた 足元を歩いている と思ったら もうずっとむこうの 暗がりの中で 笑っている 声をかけると はじらって いってしまう 知らんふりしていると まとわりつく 小さな子供達 森の子等 ああ お前たちのいる この森は とてもゆたかなんだね」

この詩からは、こだまを愛らしい森の子どもたちとして捉える監督の温かい視線が感じられます。

現代に生きる私たちへのメッセージ

こだまというキャラクターを通じて、宮崎駿監督は私たちに重要なメッセージを投げかけています。

自然との共生の大切さ

人間の役に立つわけでもなければ、対立するわけでもない、本来の自然の立ち位置が、こだまを通して表現されています。現代社会では、つい経済的価値や実用性で物事を判断しがちですが、こだまの存在は「価値を超えた存在の尊さ」を教えてくれます。

失われゆくものへの哀惜

森が破壊されるシーンでこだまたちが次々と命を失う場面は、現実の環境破壊の深刻さを象徴的に表現しています。しかし、最後に一匹だけ残ったこだまは、希望の象徴でもあります。どんなに絶望的な状況でも、生命は再生する力を持っているのです。

まとめ:こだまが教えてくれる深い真理

もののけ姫のこだまは、単なる愛らしいマスコットキャラクターではありません。木に宿る妖精として、日本古来のアニミズム思想を体現し、自然の神秘性と生命の尊さを表現した、宮崎駿監督の思想が深く込められたキャラクターなのです。

カタカタと首を振るしぐさ一つとっても、呼吸なのか言葉なのか存在アピールなのか、様々な解釈が可能で、その多様性こそがこだまの魅力といえるでしょう。

そして、こだまがトトロに進化するという設定は、絶望の物語にも希望の光を灯す、宮崎監督らしい温かさの表れです。森が再生し、こだまが成長してトトロになり、新たな子どもたちと出会う——このサイクルは、自然の持つ再生力と生命の連続性を美しく描いています。

こだまを見るたびに、私たちは自然の中に存在する見えない生命や、人間中心ではない価値観の大切さを思い出すことができるのです。それこそが、宮崎駿監督がこだまという妖精に込めた、最も重要なメッセージなのかもしれません。

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