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もののけ姫のハンセン病とエボシの真実とは?深い人間愛の物語を徹底解説!

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もののけ姫のハンセン病とエボシの真実とは?深い人間愛の物語を徹底解説!

もののけ姫の奥深い世界には、表面的には分からない重層的なテーマが隠されていますよね。特に「あの包帯を巻いた人たちは一体誰なんだろう?」「エボシ御前はなぜ彼らを特別扱いしているのだろう?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。この記事では、宮崎駿監督が込めた深い人間愛のメッセージを、ハンセン病とエボシ御前の関係を通して詳しく解説していきます。

もののけ姫で描かれた「病者」の正体とは?

映画では明示されていませんが、タタラ場で包帯姿の人々が働く様子が描かれており、彼らこそが「もののけ姫」で描かれたハンセン病患者だったのです。宮崎監督は2016年の「ハンセン病の歴史を語る 人類遺産世界会議」で初めて公の場でこの事実を明かしました。

宮崎監督は登壇し「もののけ姫の登場キャラがハンセン病患者に由来している」と語ったのです。それまでファンの間では「公然の秘密」のように語られていましたが、監督自身の口から確認されたことで大きな話題となりました。

作中で彼らは「病者」と呼ばれ、エボシ御前に依頼されて石火矢と呼ばれる軽量の銃を改良したり、鉄を打ったりする姿が描かれています。住民たちとは別の敷地内で生活していますが、社会の中でしっかりと自分たちの地位を確立しているのです。

ハンセン病とは何か?日本の隠された歴史

ハンセン病の基本知識

ハンセン病とは古文書にも残るほど古くから存在し、人々に恐れられてきた病気です。「らい菌」と呼ばれる菌によって引き起こされ、主な症状は手足などの神経が麻痺してしまったり、皮膚のただれなど。

現代では化学療法が確立した現代において、外来治療によって確実に治癒する病気です。しかし長い間、不治の病と恐れられてきました。

日本における隔離政策の歴史

1907年(明治40年)から1996年(平成8年)まで、90年にわたり患者は国の強制隔離政策の対象とされてきました。この隔離政策がハンセン病への偏見と差別を決定的に定着させたのです。

患者の家を医師だけでなく警察官も訪れ、患者の家が消毒されたり、人里離れた療養所に患者を強制的に隔離するという政策を行い、ハンセン病は「とても怖い恐ろしい病気である」という誤った認識を人々に植え付けてしまいました。

興味深いことに、90年にわたる患者隔離政策において、療養所の職員の中から一人のハンセン病患者も出ていないことからも、感染力・発病力が弱いことがわかります。つまり、隔離の必要性は医学的根拠に乏しかったのです。

宮崎監督がハンセン病を描いた経緯と思い

多磨全生園との出会い

宮崎駿監督は『もののけ姫』の企画を構想していた当時、作品の構成を考えながら散歩していたところ、自宅から徒歩15分ほどのところにある「全生園(ぜんしょうえん)」にたどり着いたそうです。

「全生園」を訪れた宮崎駿監督はその後、何度も施設に足を運び、特に園に隣接するハンセン病資料館の、療養所内で使われていた専用通貨を始めとする全国から集められた生活雑器の展示に衝撃を受けました。

「もののけ姫の制作中には、よくお参りに行きました。帰りは12時近く、ヨレヨレになって帰ってくるときに来たこともある」と語るように、制作中の心の支えとなっていたようです。

監督の決意と作品への反映

宮崎駿監督は「おろそかに生きてはいけない。作品をどのように描くか、真正面からきちんとやらなければならない」と感じたそうです。そうした思いから、タタラ場に登場する「病者」の症状や境遇をあえてごまかさず、実際のハンセン病患者を思わせる姿として描いたのでした。

『もののけ姫』では「『業病』と呼ばれる病を患いながら、それでもちゃんと生きようとした人々のことを描かなければならないと思った」と語る監督。ここには、どんな境遇にあっても人間の尊厳は失われないという強い信念が込められています。

エボシ御前というキャラクターの深層

エボシ御前の人物像

身売りされた娘達や病人(おそらくハンセン病患者)、その他はみ出し者といった行き場の無い社会的弱者達を差別することなく積極的に保護し、教育と職を与え、人間らしい生活が送れるように講じるなど、非常に高い徳と人情を併せ持ち、タタラ場の人々からは敬われ慕われています。

エボシ御前は単なる悪役ではありません。宮崎駿によるメモではエボシ御前を「近代人」と表現しており、彼女は侍の支配から逃れた理想の国を作ろうとしており、それを指して「革命家」とも言い表されました。

エボシ御前の壮絶な過去

実は、エボシ御前自身も海外へその身を売られていたのです。その後中国の倭寇と呼ばれる海賊に買われたエボシ御前は、倭寇の頭目の妻となります。しかし腕を磨いていたエボシ御前は頭目を殺し、財宝と最新の技術を奪って戻ってきたのでした。

この壮絶な過去こそが、エボシ御前がハンセン病患者をはじめとする社会的弱者に深い理解を示す理由なのです。自らも社会の底辺を経験した彼女だからこそ、同じような境遇の人々に手を差し伸べることができたのでしょう。

作品に描かれた人間の尊厳

「長(おさ)」の印象的なセリフ

作中で最も印象的なのは、ハンセン病患者の代表格である「長(おさ)」のセリフです。

「どうかその人を殺さないでおくれ。その人はわしらを人として扱ってくださった、たった一人の人だ。わしらの病を恐れず、わしの腐った肉を洗い布を巻いてくれた。生きることはまことに苦しく辛い。世を呪い人を呪い、それでも生きたい。」

このセリフは、エボシだけが腐ってしまった身体を拭いてくれたり、包帯を変えてくれた。自分たちを「人」として扱ってくれた、唯一の存在なのだと。ハンセン病患者がそれまでどんな扱いを受けてきたのか、考えさせられるセリフとして深く心に響きます。

エボシ御前の人間観

エボシは彼らを差別することなく、仕事も与え、人として生きられる社会・環境を作ったのです。この描写は、宮崎監督が伝えたかった最も重要なメッセージの一つでしょう。

現代に通じる普遍的なメッセージ

差別と偏見への警鐘

皮膚や末梢神経が侵され、変形や機能障害が生じ、顔や手足に一見してハンセン病と分かる症状が出たこと。隔離政策により、病気にかかるとハンセン病療養所に隔離されたりして、感染力の強い病気、怖い病気という偏見や誤解が広まったこと。

これらの偏見は決して過去のものではありません。現代でも、外見の違いや病気への無理解から差別が生まれることがあります。

人間の尊厳を守ることの大切さ

このような元患者の方々や家族に対する偏見や差別をなくすために、私たち一人ひとりが、この問題は人権問題であることを正しく理解し、ハンセン病やそのたどってきた歴史について正しい知識をもち、解決のために努力していく必要があります。

ファンやメディアの反応

ハンセン病をテーマとした「もののけ姫」の描写については、多くの反響がありました。

「もののけ姫で初めてハンセン病のこと知った・・・」


引用:https://twitter.com/hattoritakashi/status/1241055566877020160

「ジブリの女傑キャラって数々いるが、個人的に『そりゃあみんなこの人に仕えたいと思うよ』と思わざるを得ないのが、『もののけ姫』のエボシ御前だよな。」


引用:https://twitter.com/sow_LIBRA11/status/1219644829264089088

これらの反応からも、作品が多くの人々にハンセン病について考える機会を提供し、エボシ御前というキャラクターの魅力を深く理解させたことがわかります。

専門家の評価

近年では、療養所に暮らす患者らの高齢化などにより「ハンセン病患者が差別と偏見を受けてきたという事実が風化しつつある」という問題が持ちあがっています。宮崎駿監督は前述した「人類遺産世界会議」まで、公の場でハンセン病患者ついて語ることはありませんでした。しかし元患者からの相談を受け、ハンセン病の歴史を残すために講演への登壇を決めたそうです。

宮崎駿の人道主義とアニメーション表現

作品を通した社会的メッセージ

宮崎駿監督は常に、作品を通して社会的なメッセージを発信してきました。「もののけ姫」におけるハンセン病の描写も、その一環として位置づけられます。

エボシ御前がタタラ場で庇護していたのは、そんなハンセン病患者たちです。エボシ御前は彼らの体を拭き、包帯を替え、さらには石火矢づくりという仕事を与えていました。それが彼らにとっていかに人間としての尊厳を与えた。

アニメーションの力

アニメーションという表現手段を使うことで、重いテーマも多くの人に届けることができます。特に「もののけ姫」は、興行収入は201億8000万円で、当時『E.T.』(1982年)を抜いて、日本歴代興行収入第1位を記録するほどの大ヒット作品でした。

今を生きる私たちへのメッセージ

現在のハンセン病の状況

全国で720名(令和6年5月1日現在)の方が、14か所のハンセン病療養所(国立13か所、私立1か所)で生活しています。入所者の平均年齢は、約89歳と高齢となっています。入所者は自由に療養所を退所、再入所することができますが、高齢化、後遺症、ハンセン病への誤った偏見・差別のために、多くの方は現在も療養所で生活しています。

私たちにできること

ハンセン病についての正しい知識をもち、それをみんなに伝え、社会から偏見・差別をなくしましょう。そして、ハンセン病回復者の方々とその家族が安心して暮らせるよう支援しましょう。どんな病気であっても、その人の人権が損なわれることがあってはなりません。

まとめ:生きることの意味を問いかける傑作

「もののけ姫」に描かれたハンセン病患者とエボシ御前の関係は、単なる時代背景の装飾ではありません。それは、人間の尊厳とは何か、真の強さとは何かを問いかける、作品の核心的なテーマの一つなのです。

このような事実を知った後に見返してみると、また新たな発見や見方ができるのではないかと思います。宮崎監督が込めた深いメッセージを理解することで、「もののけ姫」という作品の真の価値がより鮮明に見えてくるでしょう。

エボシ御前が体現した「人を人として扱う」という当たり前のことの尊さ。そして、どんな境遇にあっても「生きろ」というメッセージ。これらは時代を超えて、今を生きる私たちにも深く響く普遍的なテーマなのです。

ハンセン病をめぐる歴史は決して過去の話ではありません。現代でも様々な形で差別や偏見は存在します。「もののけ姫」が提示する人間愛の物語は、私たち一人ひとりが真摯に向き合うべき、現代社会への問いかけでもあるのです。

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