もののけ姫でアシタカの許嫁って、一体誰のこと?
「もののけ姫」を見ていて、アシタカが村を出発する際に見送った少女カヤのことが気になった方は多いのではないでしょうか。アシタカを「あにさま」と呼ぶこの少女について、「妹なの?」「恋人なの?」と疑問に思った方もいることでしょう。
実は、カヤはアシタカの妹ではなく、許嫁(いいなずけ)だったのです。この記事では、カヤとアシタカの切ない関係について、宮崎駿監督の公式発言や設定資料を基に詳しく解説していきます。
カヤの正体:アシタカの許嫁として村に認められた存在
カヤは、アシタカを兄さまと呼ぶが、これは一族の中での年長の男子という意味合いのもの。カヤはアシタカの妹ではない。アシタカを好きだったのに・・・。
実はカヤは一族の中でアシタカの許嫁(いいなずけ)として認められた娘だったんです!
カヤがアシタカを「あにさま」と呼んでいるのは、実の兄妹だからではありません。エミシの村では、年上の男性や目上の人に対する敬称として使われていたのです。
カヤはアシタカの嫁さんになるつもりだったんですよ。そういうふうに周りもそれを認めてるんです。
宮崎駿監督の発言からも分かるように、カヤとアシタカは両想いの許嫁だったのです。アシタカが次期村長になることが期待されていたため、村を繁栄させるための政略的な意味合いもあったと考えられます。
なぜアシタカとカヤは別れることになったのか?
カヤの命を助けたことで、アシタカは呪いを受けた
物語冒頭で、タタリ神(ナゴの守)が村を襲撃した際、カヤが危険にさらされます。アシタカは彼女を守るために神に矢を放ち、結果的に呪いを受けて村から追放されることになりました。
呪いを受けたアシタカは村から追放された
マゲ(髪の毛)を切り落としているのは、村では人間でなくなったことを意味する
アシタカがマゲを切っているのは、単なる旅の準備ではありません。村では「人間でなくなった」ことを示す重要な儀式だったのです。
状況 | 意味 | 結果 |
---|---|---|
タタリ神襲来 | カヤを守るため矢を放つ | 神殺しの呪いを受ける |
村の掟 | 神を殺めた者は追放 | 人間でなくなったことを意味 |
マゲを切る | 村との縁を断つ儀式 | 二度と戻れない決別 |
玉の小刀に込められた深い意味
黒曜石のナイフのこと。黒曜石はガラス状に薄くさけることから石器として珍重され、縄文時代の重要な交易品だった。アシタカの村では、乙女が変わらぬ心の証に、異性へ贈るものとされる。
カヤがアシタカに渡した玉の小刀は、単なるお守りではありませんでした。これは恋人同士が愛の証として贈り合う特別な品物だったのです。
「お守りするよう、息を吹き込めました。いつも兄様を思っています」と、目に涙を浮かべながら想いを打ち明けます。
「旅人を見送らない」という村の掟を破り、罰を受けることを覚悟しながら、アシタカに「玉の小刀」を渡したのでした。
カヤは村の掟を破ってまでアシタカを見送り、一生の愛を誓う小刀を贈りました。アシタカも「私もだ。いつもカヤを思おう」と答えており、二人の深い愛情が伝わってきます。
SNSでの反響:ファンが感じる切なさ
今、アシタカがサンに、と言って渡したのはカヤから「私の身代わりに」と言ってもらった小刀の飾りですよね……なんかカヤのことを思うと切なくなっちゃう私です・・・😢
金曜ロードショーの公式アカウントもカヤの切ない状況について言及しており、多くの視聴者が彼女の境遇に心を痛めています。
「えー!カヤと関係ないサンにそれあげちゃうの!?」
アシタカが大切な小刀をサンに渡してしまうシーンに対して、多くのファンが複雑な心境を抱いているのも事実です。
アシタカはなぜ小刀をサンに渡したのか?
アシタカが玉の小刀をサンに渡したのは、彼の「決意」による行動だったのです。
一見すると裏切り行為のように見えるアシタカの行動ですが、実は深い意味がありました。
異性に贈る特別な小刀をサンに贈ることで、サンにも人間の愛を感じて欲しかったのではないでしょうか。
アシタカは人間を憎むサンに対し、人間の愛というものを理解してもらいたいという想いから小刀を贈ったと考えられます。これは決してカヤへの愛を裏切る行為ではなく、むしろカヤの愛を通じてサンを救おうとした行動だったのです。
カヤのその後:一生を賭けた愛の行方
つまり、許嫁という関係は終わってしまうものの、一生アシタカだけを想い続けると決意したのです。
カヤはアシタカが戻ってこないことを理解しながらも、生涯をかけて彼を愛し続けることを決意しました。これは現代の感覚では理解しづらいかもしれませんが、当時の社会情勢や価値観を考えれば、非常に純粋で深い愛情表現だったのです。
現実には、カヤはアシタカと再会せずに、故郷の村で別の男性と結婚した可能性が高いです。
一方で、村の存続や彼女自身の人生を考えると、カヤが別の男性と結婚する可能性も十分にあります。しかし、心の中では常にアシタカへの愛を抱き続けていたのでしょう。
カヤに関する都市伝説:妊娠説の真相
その理由として考えられるのは、カヤのお腹の中には新しい命が宿っていたということ。
ファンの間では、カヤがアシタカの子供を身ごもっていたのではないかという説があります。
根拠 | 考察 | 可能性 |
---|---|---|
年齢的な要因 | 13-14歳での妊娠は当時珍しくない | 中程度 |
一途な愛情 | 子供がいれば一生想い続ける理由になる | 高い |
村長継承 | 男の子なら次期村長候補 | 中程度 |
可能性はありますが、同時に根拠もない。これは、視聴者の想像にゆだねられている部分なんだと思います。
この説については明確な証拠はありませんが、カヤの行動や心情を理解する上で興味深い考察となっています。
石田ゆり子の二役演技が示すもの
カヤの声は、サンを演じた石田ゆり子さんが2役担当しています。
これは結果的にアシタカに捨てられてしまうカヤへの、宮崎監督のささやかな良心なのか?
石田ゆり子さんがカヤとサンの両方を演じているのは、宮崎監督の粋な配慮だったと考えられます。アシタカを愛する二人の女性を同じ声優が演じることで、愛の普遍性や運命の皮肉を表現したかったのかもしれません。
まとめ:カヤが象徴する純粋な愛の形
カヤとアシタカの関係は、『もののけ姫』という壮大な物語の中でも特別な位置を占める美しいエピソードです。
- 許嫁として認められた両想いの関係
- 村の掟を破ってまで愛を貫く純粋さ
- 一生をかけてアシタカを想い続ける決意
- 玉の小刀に込められた永遠の愛の誓い
- アシタカの成長を支える存在としての意義
カヤの存在は、アシタカが故郷から完全に決別し、新しい人生を歩む決意を固めるために必要不可欠な要素でした。彼女の純粋で一途な愛があったからこそ、アシタカはその愛を背負って、森とタタラ場の間で生きていく決意を固めることができたのです。
アシタカは「それでもいい サンは森で 私はタタラ場で暮らそう ともに生きよう」と答え、サンの表情がやわらぐという感動的な場面で映画は締めくくられます。
最終的にアシタカはサンとの新しい関係を築きますが、それはカヤへの愛を否定するものではありません。むしろ、カヤから受けた愛の深さを理解したからこそ、サンにも真の愛を与えることができたのではないでしょうか。
『もののけ姫』という作品の中で、カヤは短時間しか登場しませんが、愛の純粋さと美しさを象徴する重要なキャラクターとして、多くのファンの心に深く刻まれ続けているのです。