もののけ姫に登場する白い不思議な生き物「こだま」。その愛らしい見た目とは裏腹に、「怖い」「不気味」と感じる人が意外に多いことをご存知でしょうか。一体なぜこだまは恐怖の対象となるのか、その理由を徹底的に探っていきましょう。
こだまが怖いと感じる根本的な理由
得体の知れない存在への本能的恐怖
意外と、コダマのルーツを知らないで出会うと、怖いという人が多いみたいです。これは人間の本能的な反応として、正体不明のものに対する警戒心が働くためです。
こだまの正体が木に宿っている精霊であることを理解していなければ、ただの「得体の知れない白い何か」として映ってしまうのも無理はありません。
恐怖要素 | 詳細 |
---|---|
正体不明性 | 何者なのか分からない不安感 |
無言性 | 言葉を発しない不気味さ |
群集性 | 大量に現れる圧迫感 |
異世界感 | 現実離れした存在感 |
見た目の不気味さ
白く小さな体とただ黒い穴が開いているだけのような顔は、どこか可愛らしく、同時に不気味な印象も与えます。この白と黒のコントラストが、人によっては恐怖を呼び起こします。
のっぺらぼうのような顔立ちは、日本の伝統的な妖怪を連想させ、深層心理に眠る恐怖記憶を呼び覚ます可能性があります。
こだまの動きと音が生み出す恐怖
特徴的な首の動きと音
こだまは、言葉を話す代わりに首を回して、カタカタと音を立てているのが印象的ですが、その音は一体なんなのか。このカタカタ音こそが、多くの人が恐怖を感じる最大の要因の一つです。
タタラ場の住人の1人、甲六(こうろく)が「こいつらがシシ神を呼ぶんだ」とかなり怖がっていました。劇中でも人間がこだまを恐れる描写があり、その恐怖は観客にも伝染します。
群れで現れる圧迫感
こだまは単体ではなく、複数体で現れることが多く、その群集心理が恐怖感を増幅させます。森の中に突然現れる白い集団は、まさに超自然的な恐怖の象徴といえるでしょう。
初期デザインに隠された真の恐怖
宮崎駿監督の初期構想
完成版では可愛げのあるキャラクターになって良かったですね。初期のコダマのデザインは、宮崎駿監督が好きな漫画家、諸星大二郎先生の『マッドメン』の匂いがします。
実際、初期のイメージボードでは、お世辞にも「カワイイ」とはいえないものでした。初期デザインは現在の可愛らしい姿とは程遠い、より恐ろしい外見をしていたのです。
まるでお面をつけたような姿で手足も長く、猿にもよく似た外見。これで正体不明ともなれば、やっぱり不気味ですよね…
デザイン変更の経緯
もしこの初期デザインのまま映画化されていたら、こだまはより強烈な恐怖キャラクターになっていたでしょう。現在の「怖いけれど愛らしい」という絶妙なバランスは、制作過程での調整の賜物なのです。
森の精霊としての神秘的恐怖
木霊としての本質的な怖さ
日本では古くから人々は樹木のような自然界に存在するものには、神的な力が宿っているという信仰がありました。こだまは単なる可愛いキャラクターではなく、古来から信じられてきた木霊の化身です。
屋久島には「木霊の森」という森があるのです。その森で写真を撮ると、まさに『もののけ姫』のこだまのような白くて小さい「なにか」がたくさん映るという都市伝説もあるとか!
実在性への恐怖
こだまが実在する可能性を示唆する情報が恐怖を煽ります。屋久島の木霊の森で写真撮影をすると、オーブのようなものが映り込む」という噂もあるようです。このような都市伝説が、こだまの恐怖感をリアルなものにしています。
SNSや映画ファンの恐怖体験談
Twitter上での恐怖の声
家のトイレにもコダマがいる。光るから怖い。#もののけ姫
引用:Twitter
このように、現実世界でこだまのような存在を感じ取り、恐怖を覚える人の体験談が数多く投稿されています。
もののけ姫公開当時、相当なビビりだった私は、本気でコダマが怖かった・・
幼少期にトラウマになるほどの恐怖を感じた人も少なくありません。
大人になってからの視点変化
小さい頃は怖いなあと思いながら見てたけど、大人になって見返すとホントに色んなものが見えてきて神作。
引用:Twitter
興味深いのは、子供の頃は怖かったが、大人になって見直すと違う感想を持つ人が多いことです。
こだまの恐怖が持つ深い意味
自然に対する畏怖の表現
宮崎駿監督はもののけ姫にこだまを登場させた意図としては、木々に宿る生命の重みをわかりやすくするためにこだまというキャラクターを登場させたと語っていました。
こだまへの恐怖は、実は自然に対する畏敬の念の表れでもあります。人間が自然を恐れ、敬うべき存在として認識することの重要性を、こだまは体現しているのです。
死と再生のシンボル
物語の終盤、破壊されていく森の中で、こだまたちの死体が大量に降ってくるシーンがあります。この大量死のシーンは、映画史上でも屈指の恐ろしさを誇ります。
コダマが死ぬという描写がされており、すなわち「植物の死滅」=「森の終わり」を意味しています。こだまの死は森の死を表し、その恐ろしさは環境破壊への警鐘でもあるのです。
恐怖と愛らしさの絶妙なバランス
二面性の魅力
こだまの魅力は、恐怖と愛らしさが同居している点にあります。この二面性こそが、多くの人を惹きつける要因となっています。
こだまのおしりが可愛い、プリケツ!との口コミも多数あります。みんな面白いところに焦点を当てて見ているんですね!
恐怖を感じつつも、同時にその愛らしさに癒される人も多く、この複雑な感情がこだまの人気の秘密といえるでしょう。
時代を超えた普遍的恐怖
コダマひとつ(一匹)とっても、知れば知るほど考えさせられる『もののけ姫』。こだまが与える恐怖は、単なる映画キャラクターを超えた、人類普遍の自然に対する畏怖なのです。
まとめ:こだまの恐怖の本質
もののけ姫のこだまが怖いと感じられる理由は、単純な見た目の問題ではありません。正体不明の存在への本能的恐怖、群れで現れる圧迫感、カタカタ音の不気味さ、そして何より森の精霊としての神秘的な怖さが複合的に作用しています。
初期デザインの恐ろしさや、実在の可能性を示唆する都市伝説も、恐怖感を増幅させる要因となっています。しかし同時に、この恐怖こそが自然に対する畏敬の念を表現し、環境破壊への警鐘という深いメッセージを込めた宮崎駿監督の意図でもあるのです。
こだまの「怖さ」は、現代を生きる私たちが忘れがちな自然への畏怖を思い出させてくれる、貴重な感情体験なのかもしれません。恐怖を感じながらも、その奥にある深い意味を理解することで、もののけ姫という作品をより深く味わうことができるでしょう。