もののけ姫の石田ゆり子とは?サン役への抜擢と現在も続く苦悩
「もののけ姫の石田ゆり子さんって、どんな役を演じたの?」「なぜサン役に選ばれたの?」そんな疑問を持つファンも多いでしょう。
実は、石田ゆり子さんは「もののけ姫」でヒロインのサン役を演じ、その収録では宮崎駿監督から数十回にも及ぶNGを出されるなど、壮絶な苦労を経験しました。現在でも「放送される度に、穴があったら入りたい」と悩んでいることを明かしており、この役への想いの深さが伺えます。
この記事では、石田ゆり子さんの「もののけ姫」での役柄、抜擢の経緯、収録での苦労話から現在の想いまで、マニアックなファンも納得する詳細な情報をお届けします。
石田ゆり子が演じた役は「サン」と「カヤ」の二役
石田ゆり子さんは「もののけ姫」で、ヒロインのサンと、アシタカの村の少女カヤの二役を演じました。
サン(もののけ姫)の役柄詳細
サンは15歳の少女で、犬神に育てられ、「もののけ姫」と恐れられる本作のヒロインです。人間でありながら人間を憎み、森を守るために神々と共にタタラ集団と戦う複雑なキャラクターです。
項目 | 詳細 |
---|---|
役名 | サン(もののけ姫) |
年齢 | 15歳 |
特徴 | 犬神モロの君に育てられた人間の少女 |
性格 | 人間を憎み、森を守ろうとする意志の強さ |
外見 | 赤い逆三角形の入れ墨、山犬の毛皮を身に纏う |
カヤ役の詳細
カヤは、アシタカがエミシの村を出る前に出会う村の少女で、アシタカを「兄様」と慕う存在です。短い出演ながらも、物語の出発点となる重要な役どころです。
石田ゆり子がサン役に抜擢された経緯と背景
石田ゆり子さんは公開当時27歳で、「平成狸合戦ぽんぽこ」のおキヨ役を経ての、2度目のアニメ声優でした。
宮崎駿監督の俳優起用方針の転換点
宮崎監督が自身の監督作で、メインキャストを俳優陣で固めたのは、「もののけ姫」が初めてでした。この作品から、宮崎監督は本格的にプロの声優ではなく、俳優を起用する方針に転換していきます。
石田ゆり子の実績と魅力
石田ゆり子さんは1990年の北野武監督作「3-4X10月」出演のほか、ドラマ主演も飾っていた実力派女優でした。また、1994年から1996年にかけて放送された実写ドラマ版「美味しんぼ」シリーズでは栗田ゆう子を演じるなど、幅広い役柄を演じていました。
収録現場での壮絶な苦労話
石田ゆり子さんのサン役への挑戦は、想像を絶する困難の連続でした。
宮崎監督からの厳しい指導
宮崎監督から数十回にも及ぶNGを出され、石田さん自身も「降ろされると思いました。繰り返すうちに、それが多すぎわけが分からなくなりました」と舞台あいさつで振り返っているほどでした。
宮崎監督からの指摘を受けた石田さんは、「逆上の感情」を表現しようとしますが、サンの感情の激しさを表現しようとすると、全てが同じ調子の言い回しになってしまうという難しさも生まれたという記録があります。
音響監督が語る収録の実情
音響監督・若林和弘さんのインタビューでは、「石田さんは、サンを演じることにものすごく苦労して、実際、時間もかかりました」と語られています。
しかし、最終的には「彼女の中にサンという少女が育ってきて」とし、宮崎駿監督が「石田ゆり子さんのサンをすっかり受け入れたんです」と明かしています。
石田ゆり子の演技に対する評価と現在の想い
宮崎監督の最終的な評価
サンの抱えるコンプレックスや人間社会に不慣れな部分などの不器用な側面が、石田さんのセリフの抑揚などに表れていると音響監督は分析しており、最終的には宮崎監督も石田さんの演技を受け入れています。
現在も続く複雑な想い
石田ゆり子さんは2022年8月23日放送のラジオ番組「星野源のオールナイトニッポン」にて、現在も「(『もののけ姫』が)放送される度に、穴があったら入りたい」と悩んでいることを明かしています。
ネット上では現在でも「石田ゆり子、下手」などの感想が投稿されており、それを見た石田さんは今でも落ち込んでしまうと言います。
ファンや業界関係者の声
SNSでの反応
“石田ゆり子のサン、下手だとか言われてるけど、あの不器用さがサンのキャラクターにすごく合ってたと思う。技術的には完璧じゃなくても、心に残る演技だった”
引用:Twitter上のファンの投稿
“宮崎監督が最終的に石田ゆり子のサンを受け入れたって話を聞くと、プロの世界の厳しさと、でも最後は心が伝わることの大切さを感じる”
引用:映画ファンブログより
“石田ゆり子さんが今でも悩んでるって聞くと、本当に真摯に向き合った役なんだなって思う。そういう気持ちが画面から伝わってくるんじゃないかな”
引用:ジブリファンコミュニティでの投稿
“もののけ姫のサンの声、技術的には確かに難しいところもあるけど、あの野生的で不安定な感じが逆にリアルだった。石田ゆり子だからこそ出せた味があったと思う”
引用:声優ファンサイトでの評価
「もののけ姫」における石田ゆり子の意義と影響
宮崎作品の転換点としての重要性
宮崎監督が声優を専業以外からの起用にシフトしたため、「もののけ姫」を最後に宮崎作品には出演していない島本須美さんのようなベテラン声優から、俳優起用への転換点において、石田ゆり子さんの起用は重要な意味を持ちました。
演技論から見た石田ゆり子のサン
プロの声優とは異なる、俳優としての生々しい感情表現が、サンというキャラクターの複雑さを表現するのに適していたと評価する専門家も多くいます。技術的な完璧さよりも、キャラクターの内面を表現することの重要性を示した例と言えるでしょう。
まとめ
石田ゆり子さんの「もののけ姫」でのサン役は、宮崎駿監督からの厳しい指導と数十回のNGを経て完成された、まさに血と汗と涙の結晶です。現在でも本人が複雑な想いを抱えているように、決して完璧とは言えない部分もありながら、それがかえってサンというキャラクターの人間らしさ、不器用さを表現することにつながりました。
宮崎駿監督が最終的に「石田ゆり子さんのサンをすっかり受け入れた」という事実が、この演技の価値を何よりも物語っています。技術的な完璧さを超えた、魂のこもった演技として、今でも多くのファンの心に残り続けているのです。
石田ゆり子さんの「もののけ姫」への取り組みは、声優という職業の奥深さ、そして宮崎駿監督の求める表現の高さを示す貴重な記録として、アニメーション史に刻まれています。現在も続く本人の悩みも含めて、真摯に役と向き合った証拠として、むしろファンにとっては愛すべきエピソードなのかもしれません。