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もののけ姫の原作・本とは?映画版とまったく違う制作背景を徹底解説!

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もののけ姫の原作・本とは?映画版とまったく違う制作背景を徹底解説!

1997年の映画『もののけ姫』の大ファンなら、「この作品に原作があるの?」「宮崎駿監督はどうやってこの物語を生み出したの?」と疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。実は、映画版とはまったく異なる内容の原作絵本が存在し、その制作背景には驚くべき秘話が隠されているのです。

この記事では、もののけ姫の原作・本について、1980年のイメージボードから1993年の絵本出版、そして1997年の映画化に至るまでの詳細な制作経緯を、徹底的に解説していきます。

もののけ姫の原作・本は1980年のイメージボードから生まれた「美女と野獣」風物語

もののけ姫の原作となる絵本『もののけ姫』は1993年12月に徳間書店から出版された作品で、著者は宮崎駿監督です。しかし、この絵本の真の起源は1980年(昭和55年)に宮崎駿がアニメ企画案のイメージボードとして構想した作品にあります。

原作絵本の物語は映画版とはまったく別世界

絵本『もののけ姫』を一言で表現するなら「宮崎駿の美女と野獣」と言えるでしょう。その内容は以下のような流れです:

– とある武士が大山猫のもののけに出会い、襲われる

– 武士は命乞いの代わりに、三の姫(3人目の娘)をもののけに渡すことを約束

– 場面は代わり、武士は悪霊に体を貸すことで最強の武将となる

– もののけは三の姫を連れ帰ったものの、三の姫は結婚を断固拒否

– 悪霊に憑かれた父(武士)が心配な三の姫は、「父を人間に戻したい」ともののけに懇願

– もののけは三の姫とともに悪霊退散の旅に出る

当初はこの絵本を元に映画制作を検討していましたが、4カ月経っても全く構想がまとまらなかったため、結局この原案を捨ててゼロからストーリーを考え直すことになりました。

映画版サンの名前の由来は原作の「三の姫」

興味深いことに、映画版のヒロインの名前はサン。この名前は、絵本版『もののけ姫』に登場する姫の名前から付けられました。絵本版には3人の姫が出てきて、それぞれ”一の姫”、”二の姫”、”三の姫”という名前だったのです。山猫(もののけ)と結婚するのは”三の姫”なので、ここから「三」=「サン」と命名されたそうです。

宮崎駿が「アシタカせっ記」を推したタイトル変更の攻防戦

映画『もののけ姫』には、タイトルを巡る興味深い制作秘話があります。宮崎駿監督は同作のタイトルを『アシタカせっ記』にする予定だったのです。

宮崎駿の造語「せっ記」の深い意味

「せつ」という文字は「艸(そうこう)」の下に「耳」という字がふたつ並んだ漢字で「草の陰で人から人へ伝わった物語」という意味を持つ宮崎監督の造語でした。記とは草に埋もれながら耳から耳へと語り継がれた物語のこと正史には残らない辺境の地に生きたひとりの若者のことを人々はいつまでも忘れずに語り継いできたという、非常に詩的で深い意味が込められていたのです。

鈴木敏夫の強硬手段でタイトルが確定

しかし、プロデューサーの鈴木敏夫は「もののけ姫」というタイトルに強いこだわりを持っていました。鈴木敏夫プロデューサーは、なんと1995年12月に放送された『となりのトトロ』のTV放送の際に『もののけ姫』というタイトルで特報を出したのです。

宮崎監督は鈴木プロデューサーを怒るわけでもなく「あれ、出しちゃったの?」とだけ聞いたと同書に記されています。この一連の攻防により、映画のタイトルは「もののけ姫」に確定したのです。

原作絵本から映画版への大胆な構想転換

1995年の完全リセット

宮崎駿監督が絵本『もののけ姫』から完全に脱却し、映画『もののけ姫』の構想を完全新規で作ったのは1995年のことでした。宮崎駿監督にとって絵本『もののけ姫』は、「卒業した作品」であり、「終わった作品」だったのです。

原作の要素が後のジブリ作品に影響

『となりのトトロ』のネコバスは、この絵本版『もののけ姫』のデザインを流用したものだそうです。また、もののけのデザインは『となりのトトロ』、城の内装は『千と千尋の神隠し』など、本作の内容はその後の宮崎作品に大きく影響を与えているとされています。

SNSや専門サイトでの評価と反響

原作絵本について、多くのファンや専門家が興味深い考察を投稿しています。

「『もののけ姫』って難しいんだよな〜」みたいな人は「サンではなくアシタカが主人公」ということを強く意識してみると、大分観やすくなるのではないか

引用:https://mjwr9620.hatenablog.jp/entry/2023/07/05/195159

この投稿は、宮崎監督のタイトル案が『アシタカせっ記』だったことと、映画の理解度の関連性を鋭く指摘しています。

『もののけ姫』は、遍歴民の世界で展開される物語である。この設定により、従来の時代劇とは全く異なる世界観を構築できた

引用:https://visionwork.co.jp/mononoke/1427.html

この考察は、原作から映画版への転換において、より深い歴史的背景を持つ物語に発展したことを示しています。

1997年公開の映画『もののけ姫』の叩き台となった、1980年に描かれたイメージボード。タイトルとヒロインの名前(“三”の姫)こそ共通しているがストーリーは全くの別物である

引用:https://www.tokuma.jp/book/b503882.html

徳間書店の公式サイトでも、原作絵本と映画版の違いが明確に説明されていることが分かります。

原作絵本の現在の入手状況と価値

絶版による希少価値の高まり

既に絶版となっており、現在は入手するのも難しい状況です(高い・・)。実際に、ヤフオクの落札データによると、もののけ姫の絵本は平均2,000円〜3,000円程度で取引され、高いものでは10,000円を超える場合もあります。

徳間書店での定価は1,870円(税込)でしたが、現在では版元品切れのため、今やななかのお値段になっている状況です。

図書館での閲覧という選択肢

絵本『もののけ姫』は意外と図書館に置いてあったりするので、購入が難しい場合はぜひチェックしてみてください。希少な原作を読みたいファンにとって、図書館は貴重な選択肢となっています。

制作の構想16年、宮崎駿の創作哲学の結晶

『もののけ姫』は構想16年制作3年かけた超大作で、宮崎駿の集大成として制作された作品です。原作絵本から映画版への長い道のりは、宮崎駿の創作哲学の変遷を物語っています。

1980年代は、まだまだ大人向けのアニメの制作本数が少なかった時代であった。また、当時はバブル景気に突入しかかっていた時代であり、重いテーマは支持されにくかったという時代背景も、原作絵本が映画化されなかった理由の一つでした。

しかし、1990年代になって宮崎駿の表現力と社会的なテーマへの関心が深まったことで、「自然との共生」や「環境問題への継承」といった宮崎自身の終生のテーマが散りばめられた映画版『もののけ姫』が誕生したのです。

まとめ

もののけ姫の原作・本は、単なる映画の元ネタではなく、宮崎駿の長年にわたる創作活動の出発点であり、同時にジブリ作品全体の源流となった重要な作品です。1980年の「美女と野獣」風物語から1997年の壮大な環境テーマ作品への変遷は、宮崎駿の芸術的成長と時代への問題意識の深化を物語っています。

現在は絶版となって入手困難な原作絵本ですが、その内容と制作経緯を知ることで、映画『もののけ姫』をより深く理解できるはずです。図書館や古書店で見つけた際は、ぜひ手に取ってみてください。そこには、私たちが知る『もののけ姫』とはまったく異なる、もう一つの物語が待っているのです。

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