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もののけ姫の蝦夷とは?アシタカの故郷と村人たちの真実を徹底解説!

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もののけ姫の蝦夷とは?アシタカの故郷と村人たちの真実を徹底解説!

『もののけ姫』のアシタカが生まれ育った「蝦夷(エミシ)の村」について、詳しく知りたいと思ったことはありませんか?映画の序盤に登場する美しい山村とそこに住む人々には、実は深い歴史的背景と文化的設定が隠されています。この記事では、アシタカの故郷である蝦夷の村と村人たちについて、歴史的事実から宮崎駿監督の設定意図まで、徹底的に解説していきます。

もののけ姫の蝦夷(エミシ)一族とは何者なのか?

『もののけ姫』に登場するアシタカが属するエミシ(蝦夷)とは、「大和政権とその支配下に入った稲作農耕民から追われて本州北部の山中に隠れ住んだ、焼畑・狩猟・採集・工芸を生業とする原日本人の残党」として宮崎駿監督が解釈した民族です。

映画の設定では、アシタカは「北の地の果てに隠れ住むエミシ一族の長となるべくして育てられてきた」人物として描かれています。村の古老が「ヤマトとの戦いに敗れ、この地に潜んでから五百有余年…だが、我が一族の血も衰えた」と語っているように、大和朝廷に敗れてから500年以上が経過し、一族は衰退の危機に直面していました。

歴史的なエミシ(蝦夷)とのつながり

宮崎駿監督は、アシタカを8世紀末から9世紀初頭にかけて現在の岩手県で活躍したエミシの族長・アテルイの部族の末裔であると設定しています。エミシとは、かつて日本で大和政権と呼ばれる朝廷が中央権力を握っていた時代に、今の東北地方に暮らしていた人々のことをいいます。

項目 詳細
時代背景 平安時代初期(8-9世紀)の蝦夷征討後
地理的位置 東北地方の山間部(現在の青森~岩手県付近)
生業 狩猟、採集、焼畑農業、工芸
文化的特徴 縄文文化の継承、自然崇拝、岩石信仰

エミシの村の地理的ロケーションと文化

白神山地との関連性

映画「もののけ姫」のスタッフは、アシタカが住むエミシの村を描くために青森県から秋田県にまたがる世界遺産、白神山地を取材しています。世界最大級のブナの原生林が広がり、多様な動植物が命を謳歌する白神山地について、ジブリは『もののけ姫』の制作時に”大いに参考にした”と公表しています。

アシタカのモデルとなったエミシの故郷は青森の下北半島とされている一方で、蝦夷(エミシ)は東北を表しますとされており、東北地方全体がその舞台として想定されています。

縄文文化の継承者として

エミシの村に登場する物見やぐらは、三内丸山遺跡などで出土され、再現までされているものと似たように設計されています。これは蝦夷一族が東北地方にあり、縄文時代の文化を受け継いでいるんだよということを暗に示しています。

アシタカの住む村の長老であり、巫女でもあるヒイ様の後ろにある土器は、縄文の模様ととてもよく似ています。そしてヒイ様の夜の集まりに一族の重要人物たちが集うこのシーンでは、岩の前に祭壇が置かれており、岩石信仰が見て取れます。

エミシの村人たちの詳細設定

村の構成と人口問題

平均年齢の高齢化が問題になっており、アシタカの他にはごく僅かな若者(男性はアシタカを含めて数人、女性もカヤを含めて数人が劇中に見られた)しかおらず、コミュニティの衰退と消滅は時間の問題とされていたという深刻な状況でした。

主要な村人たち

ヒイ様(村の巫女・指導者)

エミシの隠れ里の老巫女であり、村をまとめています。石や木片などを用いた卜占で吉凶を占い、占いで物事を決めていくという女性として描かれています。神社では岩倉(岩の壁)、御神体である岩の塊を拝んでいました。

カヤ(アシタカの許嫁)

エミシの村娘で、アシタカを「兄様」(一族の中の年上の男子という意味)と呼ぶが実の兄妹ではなく、里公認のアシタカの許嫁であった人物です。アシタカが村を出て行く際には、エミシの乙女が変わらぬ心の証しとして異性に贈るならわしのものである玉(黒曜石)の小刀を贈ったという重要な役割を果たしています。

村人たちの武器と文化

カヤが抜いた、刀身が直線的で先が尖っている刀は蕨手刀という。柄の方には輪が付いている。東日本各地から出土しており、東北地方を中心に8世紀ほどまで作られていたもので、実際にエミシが使用していた武器でした。

アシタカの村での立場と村人との関係

次期村長としての期待

アシタカはエミシの一族の次期村長になることが期待されていた人物です。「大和の王朝との戦いに敗れ、北の地の果てに隠れ住むエミシ一族の数少ない若者であり、一族の長となるべき少年。王家の血を受け継ぐ気品と狩りで鍛えた秀でた技の持ち主。」として設定されていました。

アシタカヒコは部族の中でも王族または指導者の血縁にあるとされ、才覚・品格共に麗しい事からも、次期村長となる事が確実視されていたのです。

村からの追放という重い現実

しかし、タタリ神との戦いで呪いを受けたアシタカは、実際には村から追放されています。少子化が進む村で、貴重な「長」候補の若者アシタカを旅に送ることに男たちは絶望している状況でした。

カヤとアシタカの別れのシーンのアフレコの際、宮崎駿監督は以下のように説明しています。呪いを受けたアシタカは村から追放された、マゲ(髪の毛)を切り落としているのは、村では人間でなくなったことを意味する、「人」でなくなり追放されたアシタカは二度と村には戻れないと。

エミシの村が持つ現代的意味

自然との共生思想

アシタカのセリフの中に「森と人間が争わずに済む道はないのか?ホントにもう止められないのか?」「森とタタラ場、双方生きる道はないのか?」があります。アシタカは常に、森(自然界)と人間とが調和して生きる道を模索しているのです。

東北に関するたくさんの本を読んだ上で私がとらえているエミシの姿というものは、まさにアシタカのような人。強くて、優しくて、器が大きくて、自然を愛し、人を愛し、争いではなく、調和を求める人として描かれています。

歴史の敗者への視点

この物語に登場するのは、歴史の中で排除されていった森の神、森と生きる人々、女の力、らい病患者…さまざまな面から捉えた歴史の中の敗者。特に、蝦夷の青年を主人公にしているところがなんともワクワクさせられます。宮崎駿監督は、歴史の主流から外れた人々に光を当てることで、現代に通じるメッセージを込めたのです。

現在も残るエミシの村の痕跡

平泉との関連

平泉には征夷大将軍に任命された坂上田村麻呂が蝦夷(えみし)を討伐し平定したことを発端に建てられたお堂があり、岩壁に沿うような形で建てられています。『もののけ姫』をすでにご覧になった方にはピンとくるかもしれませんが、ヒイ様の夜の集まりがあった建物も、巨大な岩に沿って建てられています。実際の歴史的建造物と映画の設定には驚くべき一致点があります。

白神山地での体験

青森県から秋田県にかけてそびえる白神山地が「大いに参考にした場所」として挙げられています。白神山地には十二湖と言う湖もあり、ここは、シシガミの池に似ているのではないでしょうか?現在でも白神山地を訪れることで、エミシの村の雰囲気を体感することができるのです。

ファンの間で語り継がれるエミシ村の魅力

「もののけ姫の世界には、現代の私たちが失ってしまった自然との共生の知恵がある。アシタカのエミシの村は、その象徴的な存在だと思います」

「白神山地を実際に歩いてみると、本当にもののけ姫の世界そのものでした。ブナの原生林の中で、アシタカたちの生活を想像すると、宮崎監督の意図がよく分かります」

「エミシという設定を知ってから『もののけ姫』を見ると、全く違う作品に見えてきます。歴史の敗者の視点から描かれた深いメッセージがありますね」

「平泉を訪れた時、本当にヒイ様の神殿を思い出しました。岩に沿って建てられた建物は、まさにあのシーンそのものでした」

「アシタカが村から追放されたという設定を知ると、彼の孤独感や使命感がより深く理解できます。ただの英雄ではない、複雑な立場の主人公なんですね」

エミシの村人たちが現代に伝えるもの

宮崎駿が映画『もののけ姫』の中で、あえて、エミシの末裔であるアシタカを主人公として選び表現しようとしたこと。己の信じるものを守るために時に心を鬼にしてでも強くあれということ。人として大切なことの根本のように思う。アシタカにはそれが表れているのです。

古代の日本では、森は神が宿る場所。神社に「鎮守の森」があるのはその名残りです。シシ神の森は、そんな時代の森。シシ神がいて、木霊がいて、動物たちが森を守っています。しかし、人間が力を持つにしたがって、森は神の所有物から人間の「資源」に…特に、多くの木を必要とする製鉄は、森を破壊してきました。

エミシの村人たちは、まさにこの変化の時代を生きる人々として描かれています。本作では稲作農民に代表される平地の「定住民」とは全く別の生活圏を持つ「遍歴民(山民・海民・芸能民など)」が多く取り上げられる中で、エミシの村人たちは最も重要な位置を占めているのです。

まとめ:もののけ姫が描くエミシ村の普遍的メッセージ

『もののけ姫』に登場するエミシの村と村人たちは、単なる物語の背景ではありません。宮崎駿監督は、古代から中世の東北地方から北海道にかけて存在した朝廷である蝦夷を、大和朝廷の豪族たちを中心として統一国家となった大和朝廷が今の日本国家の祖先と言われているが、彼らに滅ぼされた国家として位置づけ、現代に通じる深いメッセージを込めました。

アシタカが体現するエミシの精神は、強くて、優しくて、器が大きくて、自然を愛し、人を愛し、争いではなく、調和を求める人の姿そのものです。現代社会において私たちが直面している環境破壊、文化の同質化、歴史の敗者への無理解といった問題に対して、エミシの村人たちの生き方は重要な示唆を与えてくれるのです。

アシタカの故郷であるエミシの村を深く理解することで、『もののけ姫』という作品が持つ真の深さと現代的意義を感じ取ることができるでしょう。それは単なるファンタジー映画を超えた、人類の未来への提言なのかもしれません。

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