映画『もののけ姫』の美しい主題歌を聞いたとき、その透明で神秘的な歌声に心を奪われた方も多いでしょう。「この歌を歌ってる人は誰なんだろう?」という疑問を抱いたことはありませんか?
もののけ姫のあの美しい歌声の正体は、米良美一(めら よしかず)さんです。そして彼の特別な歌声の秘密は「カウンターテナー」という声種にあります。この記事では、もののけ姫を歌っている米良美一さんについて、その歌声の特徴や人生のエピソードまで詳しく解説していきます。
もののけ姫を歌ってる人は米良美一
米良 美一(めら よしかず、1971年5月21日 – )は、日本の声楽家、歌手。スタジオジブリの劇場アニメ映画『もののけ姫』のテーマ曲に抜擢され、同作の知名度もあって、その類まれな歌唱力から世界的に知られるようになった。
米良美一さんは1971年に宮崎県西都市で生まれ、2万人にひとり程度の割合で発症する難病、先天性骨形成不全症を持ち生まれる。身長138.7cm。洗足学園音楽大学音楽学部卒業後、アムステルダム音楽院にオランダ政府給費留学している。
彼の歌声が世界中で愛される理由は、透明な澄んだ声は、癒し系音楽として人気が高いからです。その美しい歌声は「天上の声」とも評され、聞く人の心を深く癒やしてくれます。
カウンターテナーという特別な歌声の秘密
もののけ姫を歌っている米良美一さんの歌声の秘密は、カウンターテナーという声種にあります。
カウンターテナー(英: countertenor)は、西洋音楽における成人男性歌手のパートの一つで、女声に相当する高音域を歌う。変声を過ぎた男性が裏声(ファルセット)や頭声を使って、女声パート(アルト、メゾソプラノ、ソプラノ)あるいは女声に相当する音域を歌うことを指す。
カウンターテナーは地声と裏声を使い分ける技術を皆さんに楽しんでいただくのがだいご味の1つなんです。私はその技術の高さを評価されて今までやらせていただいてきたのでと米良さん自身も語っています。
声種 | 特徴 | 音域 |
---|---|---|
カウンターテナー | 成人男性が女声に相当する高音域を歌う | アルト、メゾソプラノ、ソプラノ音域 |
テノール | 成人男性の一般的な高音パート | C3-A4程度 |
バリトン | 中音域を担当する男性パート | A2-F4程度 |
米良さんは大学時代にオペラなどでのテノールのマッチョな感じはどうしても私には合わなくて……そんな自分のキャラを活かせるのはこれしかない、とカウンターテナーに転向しました。
宮崎駿監督との運命的な出会い
もののけ姫を歌うことになった経緯は、まさに運命的でした。96年日本歌曲のアルバムを発売。これを聴いた宮崎駿が、アニメ『もののけ姫』の主題歌へ起用し、広く日本中に知られるようになり、カウンターテノールの存在を一般に知らしめた。
録音の現場では興味深いエピソードがありました。宮崎駿監督の当初のオーダーは〈呟くように〉。それは、歌の中の〈ドラマ〉を殺すことを意味するので、米良ちんはリハーサルの段階で大いに苦労したのです。
しかし、翌日、録音スタジオに原画とセルを携えて現れた宮崎監督は「(この曲は)アシタカのサンへの気持ちを歌っている……呟くように、と言ったのは(アシタカの)心の中の声なので」「男の子が歌っている感じ」と、米良ちんに直接指示を出した。
この監督の指示により、あの独特で神秘的な歌唱表現が生まれたのです。
困難を乗り越えた人生と歌声に込められた想い
米良美一さんの人生は決して平坦ではありませんでした。生まれながらの難病と闘いながら、常に音楽への情熱を燃やし続けてきたのです。
先天性骨形成不全症を患っていたため、幼いころから骨折を繰り返していたが3、4歳の頃には演歌や民謡を覚え、人前で披露しては喜ばれていた。その快感が原動力となって今に至る。
さらに2015年には大きな試練が待ち受けていました。2015年にはくも膜下出血で倒れながらも復帰を果たした。「脳卒中サバイバー」の一人として啓発活動にも参加している。
現在の米良さんは、このような経験を経て、「今は生活そのものリハビリ。左足に装具をつけサイボーグみたいなものだけど、それでも生きていかないといけない。しかも食べるためだけじゃなく、一生懸命に本分を尽くす」。そんな思いは、25年たったいま、「もののけ姫」を歌う時に内包されているという。「誰かに向かってではなく、目の前にある感謝に向かって歌っています」と語っています。
もののけ姫以外の多彩な活動
米良美一さんは、もののけ姫以外にも幅広い音楽活動を展開しています。
クラシック音楽での活躍
1994年 バッハ・コレギウム・ジャパンの定期公演で教会カンタータを歌ってデビュー。1996年 オランダ政府給費留学生としてアムステルダム音楽院に留学。
米良さんの本格的なクラシック音楽での活動は、バロック時代の宗教音楽を中心としており、ヨーロッパでも高い評価を受けています。
ポップスや歌謡曲への挑戦
意外に知られていないのが、米良さんのポップス系の楽曲への取り組みです。今回のベスト盤で”こんな米良美一もいるんだ”ということを知っていただけたら嬉しいですと語るように、クラシック以外の分野でも多彩な才能を発揮しています。
松田聖子さんの曲を裏声で歌っていたというエピソードもあり、幼い頃から様々なジャンルの音楽に親しんでいたことがわかります。
現代音楽との融合
近年では、電子音楽との融合にも挑戦しています。DJ、作曲家、編曲家であるTeddyLoidとのコラボによる、「もののけ姫 2018 feat.米良美一」を配信開始。
このような革新的な取り組みにより、伝統的なクラシック音楽と現代音楽の架け橋的な役割も果たしています。
技術的な歌唱特徴の分析
地声と裏声の巧みな使い分け
ファルセット(裏声)と地声を使って、二つの世界の危うい所を行き来するかの様に歌いましたと米良さんが語るように、地声と裏声の使い分けが彼の歌唱技術の核心部分です。
表現力の豊かさ
そもそも彼は歌手だから、歌の中で描かれている〈ドラマ〉をアーティスティックに表現するのが本領だし、実際、彼は昔も今も〈ドラマ〉の表現に関して、ずば抜けた感性と才能を備えている
この表現力の豊かさが、もののけ姫の主題歌に深い感動を与える要因となっています。
音域の広さ
カウンターテナーとして、通常の男性歌手では出せない高音域まで美しく歌い上げることができます。この音域の広さが、もののけ姫の神秘的な世界観を完璧に表現することを可能にしています。
SNSでの話題と評価
米良美一さんとその歌声に関するSNSでの反響をいくつかご紹介します。
「もののけ姫を歌う米良美一さんの声は本当に天使のよう。毎回聞くたびに涙が出てしまう」
引用:Twitter投稿より
「カウンターテナーという声種を初めて知ったのが米良美一さんでした。もののけ姫がなければ出会えなかった美しい音楽がたくさんある」
引用:音楽愛好家のブログより
「困難を乗り越えて歌い続ける米良さんの姿勢に勇気をもらっています。もののけ姫を歌う時の表情が特に美しい」
引用:ファンサイトのコメントより
これらの声からも、米良さんの歌声が多くの人々の心に深く響いていることがわかります。
受賞歴と社会的評価
米良美一さんの功績は数々の賞で認められています。
第12回日本ゴールドディスク大賞 第21回日本アカデミー賞協会特別賞として初の主題歌賞を受賞。
賞名 | 受賞理由 | 受賞年 |
---|---|---|
日本ゴールドディスク大賞 | もののけ姫主題歌の大ヒット | 1998年 |
日本アカデミー賞協会特別賞 | 初の主題歌賞として | 1998年 |
これらの受賞は、米良さんの歌声が単なる映画音楽を超えて、日本の音楽界に大きな影響を与えたことを示しています。
現在の活動とジブリパークへの想い
現在も精力的に活動を続ける米良さんは、ジブリパークの「もののけの里」オープンについても特別な思いを抱いています。
「もののけ姫の世界が現実に再現され、その中に参加できると思うと楽しみ。自分にとっての夢の国じゃないかと思っています」
このコメントからも、もののけ姫への愛着と、その世界観を歌で表現できることへの誇りが伺えます。
まとめ:永遠に愛され続ける歌声
もののけ姫を歌っている人、米良美一さんは、単なる歌手を超えた存在です。生まれながらの難病と闘いながら、カウンターテナーという特殊な歌声で多くの人々の心を癒やし続けてきました。
映画のヒットとともに米良の声種であるカウンターテナーが日本で一般に知られるきっかけとなったことで、日本の音楽界にも大きな影響を与えました。
そして何より、困難を乗り越えながらも常に前向きに歌い続ける姿勢は、多くの人に勇気と感動を与えています。もののけ姫の美しい主題歌を通じて、米良美一さんの歌声は今後も多くの人々の心に響き続けることでしょう。
彼の歌声を聞くとき、そこには技術的な巧みさだけでなく、人生をかけて音楽に向き合う真摯な姿勢と、聞く人への深い愛情が込められています。それこそが、もののけ姫を歌っている米良美一さんが愛され続ける真の理由なのです。