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もののけ姫の山犬・狼とは?モロの君の正体を徹底解説!

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「もののけ姫」に登場する山犬って、一体何者なんだろう?モロの君の正体や、なぜ山犬と呼ばれているのか気になりませんか?実は、この山犬には日本の歴史と深く結びついた重要な設定が隠されているのです。

この記事では、もののけ姫の山犬・狼について、その正体からモロの君の背景、実在したニホンオオカミとの関係まで、徹底的に解説していきます。あなたが抱いている山犬への疑問を、全て解決できるはずです。

山犬の正体は「ニホンオオカミ」だった

もののけ姫には、主人公「サン」の育ての親である犬神(山犬)「モロの君」と、その実子2頭が登場します。この山犬の正体について、多くの人が疑問に思っているのではないでしょうか。

実は、そもそも山犬とは、動物学上においてニホンオオカミのことを言います。つまり、もののけ姫に登場する山犬は、ニホンオオカミがモデルになっています。

ニホンオオカミは体長95-114センチメートル、尾長約30センチメートル、肩高約55センチメートル、体重推定15キログラムで、他の地域のオオカミよりも小さく中型日本犬ほどだが、中型日本犬より脚は長く脚力も強かったとされています。

なぜ「狼」ではなく「山犬」と呼ばれるのか

興味深いのは、なぜ作品中で「狼」ではなく「山犬」という呼び方をしているかという点です。これには日本の歴史的背景があります。

「ニホンオオカミ」という呼び名は、明治になって現れたものなのです。それ以前は、山に住む犬という意味で「山犬」「山の犬」などと呼ばれていました。

宮崎駿監督が室町時代を舞台にした「もののけ姫」で「山犬」という表現を使ったのは、時代考証を重視したためと考えられます。

モロの君の詳細な設定と正体

モロの君はシシガミの森を守る神様で、劇中では「モロ」と呼ばれていま。特徴は全身をおおう白い毛と、しっぽが2本あること。そしてモロの君は齢300歳を超えたメスの犬神で、全身真っ白な毛並みと2本の尾を持ち、人語を解し、人間に捨てられたサンを自分の娘として育てました。

モロの君の性格と知能

モロは人間たちの罠を見破るなど高度な知能を持っており、人間やほかの動物と意思疎通ができます。強そうな見た目に反して、性格は思慮深く穏やか。相手が間違っているとわかっていても、自分の意見を押し付けない広い心の持ち主です。

この知能の高さは、単なる野生動物ではなく「神」としての存在であることを示しています。よってもののけ姫の中で、山犬が単なる「犬」ではなく、森の神の一員として存在するのも納得なのです。

美輪明宏による名演技

モロの声優を務めたのは歌手、俳優、演出家、タレントなどとして活躍する美輪明宏です。

もののけ姫の制作段階において、宮崎駿監督は山犬のキャラクターを、「自然の側に寄り添う正義の存在だけにしたくない」と考えていました。自然は凶暴さや残忍さを持っていますが、同時に優しさも持っています。そのため、シシ神の森を守っている山犬一族は、そのような複雑で奥深さを持っている存在にしたかったそうです。

そんな監督の要望を受け、美輪明宏さんは慈悲深さや威厳さ、神聖さを持つモロの君を見事に演じきりました。

ニホンオオカミの歴史と絶滅の真実

もののけ姫の山犬を理解するには、実在したニホンオオカミの歴史を知ることが重要です。

ニホンオオカミの絶滅

ニホンオオカミが絶滅したのは明治末期の1905年とされています。日本狼は明治38年(1905年)1月23日、奈良県吉野郡東吉野村鷲家口で、地元の漁師によって捕獲されたのを最後に、絶滅したといわれています。

絶滅の原因

絶滅の理由としては、明治以降西洋犬の導入に伴い狼にも狂犬病やジステンパーなどの病気が蔓延したこと、家畜に害をなすため、人間による徹底的な駆除が行われたこと。住居である山が開発され、餌となる動物や住処が激減したことなどが重なったためと考えられています。

オオカミ信仰の存在

興味深いのは、ニホンオオカミが単なる害獣ではなかったという点です。もともと狼はオオカミ(大神)ともいわれ、日本では古代から神とて崇拝されていました。

日本人は農耕民族なので、田んぼや畑をあらす猪や鹿などの動物は害獣。それらの動物をとらえて食べる狼は山の神としてあがめられていたのです。

モロの子供たちの設定

モロの君には二頭の子供たちがいますよね。性別は、山犬の兄弟という設定からオスだということが推測されます。映画の中では子供たちの名前は呼ばれることがないため、名前は不明です。

子供たちの性格

映画を見ていると、アシタカが乗っているヤックルを「食べていい?」とサンに聞いていたり、「嚙み砕いてやる!」と荒々しい性格のように思えますね。

しかし、一見激しい性格のようにも思えますが、サンやモロの言葉には忠実に従い、聞き分けの良いところもあります。サンとモロの子供たちは、本当の家族のように森で一緒に生活していました。

SNSで話題になるモロの君の魅力

最近のSNSでは、モロの君の魅力が再注目されています。

もののけ姫、何が一番好きかって投げてよこされたヒトの仔を娘として実子と分け隔てなく育てつつも、山犬がしない直立二足歩行をきちんとさせて、山犬が食べない植物質の(ヒトが食べても大丈夫な)食べ物を教えて、山犬が用いない道具を使って物を加工する技術を身につけさせたモロの君の愛なんですよ

引用:https://togetter.com/li/1721217

このツイートには多くの共感が寄せられ、モロの君の深い愛情が話題になりました。

映画館で再演してたときに気づいた、嫌いなはずの人間の衣服をサンに着せるモロ。とてつもない愛だと。憎悪を切り離してどちらでも生きていけるように育てた

引用:https://togetter.com/li/1721217

モロって作中、どの人間よりも人間臭いなって思ってる。あそこまで人間を憎みながら血のつながらない人の子を愛して育てる。っていう矛盾とか特に

引用:https://togetter.com/li/1721217

現代に通じるメッセージ

日本では90年代半ばから獣害が目立ち始め、今では人の手に負えないほど鹿・猪の個体数が増加。国を挙げて解決すべき課題となっています。鹿・猪が激増した原因としてニホンオオカミの絶滅が指摘されており、現在の日本の自然環境問題を考える上で重要な示唆を与えています。

宮崎駿監督は、もののけ姫を通じて人間と自然の関係を描きましたが、山犬という存在は生態系のネットワークの要に位置する頂点捕食者として、自然界のバランスの重要性を象徴しているのです。

別の視点から見る山犬の意義

山犬一族の物語は、単なるファンタジーではありません。山犬一族の存在は自然の凶暴さや残忍さと同時に優しさも持ち合わせるという複雑な自然観を表現しています。

例として、モロがアシタカに対して放った、「黙れ小僧!お前にあの娘の不幸が癒せるのか?」という名言が挙げられます。このセリフは、人間であるサンを山犬一族として受け入れ、本当の兄弟として生きてきた絆や慈悲深い気持ちを強く表現しています。

まとめ

もののけ姫の山犬・狼は、単なるアニメキャラクターではなく、日本の歴史に実在したニホンオオカミをモデルとした深い設定を持つ存在です。モロの君という300歳の犬神は、美輪明宏の名演技によって、威厳と慈愛を兼ね備えた複雑なキャラクターとして描かれています。

山犬一族の物語は、人間と自然の関係、失われた生態系のバランス、そして異なる種族間の愛と理解といった普遍的なテーマを含んでいます。現在の日本が直面している獣害問題を考えるとき、頂点捕食者であったニホンオオカミの絶滅がもたらした影響の大きさを改めて実感させられるのです。

もののけ姫を見返すときには、ぜひ山犬一族の深い設定と、そこに込められた宮崎駿監督のメッセージに注目してみてください。きっと新たな発見があるはずです。

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