千と千尋の神隠しの人気キャラクターであるハクですが、その魅力を引き上げているのは、やはりかっこいいセリフ・名言ではないでしょうか。
ファンの方にとっては、何度も見返したくなるようなお気に入りのシーンがあるはずです。
今回はそんなハクのかっこいいセリフ・明言をピックアップしましたので、ぜひご覧ください。
「つらかったろう。さ、お食べ。」
これはファンの間でも有名なシーンです。
一生懸命に油屋で働いた千尋に、おにぎりを持ってきてくれます。
ハクは「千尋の元気が出るように、おにぎりにまじないをかけた」と言いますが、千尋はおにぎりを頬張りながらうれしさのあまり泣いてしまうのです。
これまで普通の世界で生きてきた千尋にとって、突然両親を豚にされたうえ、油屋で働かされるのは非常に辛い状況だったことでしょう。
しかもハクは湯婆婆の監視下にあったため、初対面時以降はずっと冷たくされていました。
そんなハク自らが千尋の元へやってきて、優しく接してくれる様子を見たら、思わず泣いてしまう視聴者も多いのではないでしょうか。
「つらかったろう」という気持ちも、千尋の不安に寄り添っていたからこそ出たセリフではないでしょうか。
普段は湯婆婆から怪しまれないよう、表面上は千尋に冷たくしていましたが、実は内心気にかけてくれていたことが分かります。
「怖がるな。私はそなたの味方だ。」
作中で千尋とハクが初めて出会うシーンです。
両親が豚になり、船から神様が降りてきて、パニックになっている千尋に優しく声をかけます。
千尋の立場からすると、頼りになる両親がおらず、見たこともない世界や生き物に囲まれています。
そんな危機的状況の中でやってきて、「味方」であると声をかけてくれるハクは、千尋にとって非常に心強い存在だったのではないでしょうか。
「坊を連れ戻してきます。そのかわり千と両親を人間の世界へ戻してやって下さい」
「坊を連れ戻すことを条件に、千尋と両親を元の世界に戻してほしい」と、ハクが湯婆婆に交渉するシーンです。
これに対し湯婆婆は「その代わりお前が八つ裂きにされる」と発言しています。
公開当初の公式サイトには、ハクが湯婆婆の手によって八つ裂きにされる運命を受け入れていると記載されていました。
自分のみを犠牲にしてでも、千尋のことを守りたいという決意が伝わってくる発言です。
「いつもは千でいて、本当の名前はしっかり隠しておくんだよ」
湯婆婆に名前を奪われてしまっていた千尋に対し、優しく伝えるシーンです。
千尋は本当の名前を忘れかけていましたが、ハクが思い出させてくれました。
千と千尋の神隠しは、本来「アイデンティティ」というものを失わないことをコンセプトに製作されています。
油屋で働いている間は「千」として過ごしていても、本当の名前である「千尋」を見失わないようにしてほしいという、ハクの思いが伝わってくるセリフです。
「さあ行きな、振り向かないで」
物語ラストで、元の世界に戻る千尋に伝えるシーンです。
「別れを惜しんでしまっていては、千尋は元の世界へと進むことができない」と分かっているからこそのセリフではないでしょうか。
この後千尋はハクがいるであろう後ろを振り向かず、真っすぐに前を歩いて元の世界へと戻ります。
出会いから別れまで、ハクは一貫して千尋の味方をしてくれる存在でした。
同じ境遇だからこそ共感できる点があったのはもちろんですが、出会いの時点からハクにとって、千尋は特別な存在として認識していたのです。
そんな大切な千尋だったからこそ、振り向かず前へ進み、元の世界での生活に戻ってほしいと願ったのかもしれません。
千尋が振り向かない間も、ハクは後ろで元の世界へ戻っていく様子を見てくれていたことでしょう。