千と千尋の神隠しの舞台である、神様たちが疲れを癒しに来る湯屋の油屋。
映画の中盤、その油屋に全身をヘドロに覆われ、隙間から紫色の液体を吹き出し、大きな体を引きずって歩く、一度見たら忘れられない神様が訪れます。
その神様の名前はオクサレ様といって、お客様に常に笑顔で接客している湯婆婆でさえ、思わず固まってしまうほどの悪臭を放つ神様です。
その悪臭は、リンの持っていたご飯が一瞬で腐ってしまうほど。
そんな悪臭とヘドロまみれの外見が特徴的なオクサレ様ですが、実はこれは本当の姿ではありませんでした。
オクサレ様の正体には、驚いたファンも多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな印象深いオクサレ様の正体などについて紹介していきます。
正体は名のある川の神様オクサレ様!
オクサレ様のお湯番を命じられた千尋によって、オクサレ様は大量の薬湯を浴びることができました。
この時、体を洗おうとした千尋はオクサレ様の体に、トゲのような物があることに気付きます。
そのことを聞いた湯婆婆は「もしや」と呟き、他の従業員たちにトゲを抜こうとする千尋を手伝うように命じます。
千尋と従業員たちが力を合わせてトゲを抜いてみると、それはトゲではなく自転車。
そして自転車に続いて、千尋たちが引っ張るたびにさまざまなゴミがオクサレ様の中から出てきます。
すべてのゴミを引っ張り出すと、綺麗になったお湯の中で千尋がオクサレ様の本当の姿を見ます。
オクサレ様の正体は、名のある川の神様である龍神だったのです。
本当の姿になったオクサレ様は「よきかな」と言う言葉を残し、高らかに笑いながら空を飛んで油屋から出ていきます。
その姿はまさに龍そのもので、それを見た湯婆婆はあれは名のある川の主だと言って千尋を褒め称えます。
最初は千尋を役立たずと言っていた湯婆婆が褒めるくらいですから、かなり高名な神様だということがわかりますね。
千尋だけがオクサレ様の正体を見破った理由とは?
オクサレ様のお湯番を任された千尋。
そんな千尋だけが、オクサレ様の正体を見破るきっかけである、体に生えていた自転車のハンドル部分に気付きました。
多くのお客様を迎えてきた湯婆婆や他の従業員ではなく、油屋の従業員として働き始めたばかりの千尋だけがオクサレ様の正体を見破れた理由とは、いったい何なのでしょうか。
これは千尋が従業員としては新人だったから、ということが大きな理由だと考えられます。
オクサレ様が最初に訪れた時、カエルや他の従業員たちは「お帰りください」と油屋へ訪れることを拒否しています。
湯婆婆も嫌そうにしていましたが、従業員の制止にも止まらず来店してしまったので、仕方なく対応をしていました。
この描写から、おそらくこれまでも何度かオクサレ様は油屋を訪れていて、そのたびに追い返していたのではないかと考えられます。
つまり、湯婆婆をはじめとした油屋全体にとって、オクサレ様は避けるべき相手でしかなかったわけです。
そういった先入観の無かった千尋だけがオクサレ様の体にしっかりと触れることができ、結果として飛び出していたハンドルに気付けたのではないでしょうか。
一人のお客様として誠実に対応した千尋の素直さが、結果としてオクサレ様を救うことになったのだと考えられます。
満足したオクサレ様は砂金とニガダンゴを
本当の姿になったオクサレ様は「よきかな」という言葉を残し、油屋を去っていきます。
高らかに笑いながら飛び去ったあとには、大量のゴミだけが残されているように見えましたが、実はそこにはたくさんの砂金も混じっていました。
その量は湯婆婆も大儲けだと喜ぶほどで、薬湯を使った料金としては破格だということがわかります。
体の中にあった汚れを何とかしてくれた油屋に対して、川の神様として深く感謝しているからこそ大量の砂金を残していったのでしょう。
そしてあちこちに散らばった砂金とは別に、千尋の手にはニガダンゴが残されていました。
このニガダンゴは、後々さまざまな場面で使われる重要なアイテムです。
オクサレ様だった自分に対して、誠実な対応をしてくれた千尋には個別で感謝の気持ちを伝えたかったのでしょうね。