火垂るの墓情報

火垂るの墓の音楽・曲・歌は何が使われてる?間宮芳生が手掛けた名曲を完全解説!

火垂るの墓の音楽・曲・歌は何が使われてる?間宮芳生が手掛けた名曲を完全解説! 火垂るの墓情報
火垂るの墓の音楽・曲・歌は何が使われてる?間宮芳生が手掛けた名曲を完全解説!

火垂るの墓の音楽は、映画の感動的なシーンを演出する重要な要素として多くの人の心に刻まれています。日本を代表する作曲家・間宮芳生が手掛けたサウンドトラックと、劇中で効果的に使用された楽曲の数々について、詳しく解説していきます。

火垂るの墓の音楽の結論:間宮芳生が生み出した名曲群

火垂るの墓の音楽を担当したのは、日本を代表する作曲家・間宮芳生(まみやみちお)です。間宮芳生の音楽による、スタジオジプリ`88年度作品「火垂るの墓」のサントラ盤には、以下の楽曲が収録されています。

楽曲名 役割・使用シーン
節子と清太~メインタイトル オープニングテーマ
焼野原 空襲後の神戸の様子
母の死 母親が亡くなる場面
初夏 兄妹の生活描写
池のほとり 防空壕での生活
海へ 海辺の回想シーン
波打際 平和な時代の思い出
日傘 母との思い出
桜の下 春の情景
ドロップス 節子とドロップス缶
引越し 叔母の家を出る場面
兄弟 清太と節子の絆
ほたる 蛍のシーン
ほたるの墓 タイトルにちなんだ楽曲
夕焼け 夕暮れの情景
修羅 戦争の悲惨さを表現
悲歌 悲しみの場面
ふたり~エンドタイトル エンディングテーマ

なぜ間宮芳生が選ばれたのか?高畑勲監督との関係

間宮芳生は1929年生まれ。東京音楽学校(現・東京藝術大学)卒業。バルトークの影響を受け、民俗音楽の研究に取り組み、日本民謡、ジャズやアフリカ民俗音楽などの素材と、クラシック技法と融合させた特徴を持つ作品を多数手掛けています。

高畑勲監督との協力関係は長く、高畑勲監督作品では「太陽の王子 ホルスの大冒険」「セロ弾きのゴーシュ」「柳川堀割物語」にも、楽曲提供しているという実績がありました。

火垂るの墓において間宮芳生が作り出した音楽の特徴は、悲しげではあるが、絶望的な印象はない。間宮自身によれば、作曲の際に高畑監督からも暗くなりすぎないように要望があったようだという点です。

劇中で使用された楽曲の具体例と効果

メインテーマ「節子と清太」の魅力

オープニングで流れます。名曲として知られるメインテーマは、映画全体を象徴する楽曲です。火垂るの墓のオリジナルサウンドトラックCDでは思いっきりセリフがかぶって台無しになっている。しかしなんと「節子―「火垂るの墓」メモリアルアルバム [単行本]」の付録に付いている8センチCDに「節子と清太〜メインタイトル」がセリフなしで収録されています。

挿入歌「埴生の宿(Home, Sweet Home)」の深い意味

火垂るの墓で特に印象的なのが、「埴生の宿(Home Sweet Home)」は、元はヘンリー・ローリー・ビショップがオペラ「ミラノの乙女」のアリアとして作曲した曲。日本では、童謡や唱歌から文化庁と日本PTA全国協議会が選んだ「日本の歌百選」に選ばれるなど、広く親しまれている楽曲です。

「火垂るの墓」では、戦争が終わって疎開先から戻ってきた上流階級の少女たちが蓄音機で流す。音楽をバックに、なくなった節子が防空壕を家に暮らしていた時の様子が映し出される場面で使用されます。

郷愁を誘う旋律に乗せて英語の歌詞、というところが流石ジブリ映画のセンスが光るところですが、特に「Home home, sweet sweet home」と歌う部分が、幼くして戦争で両親と家をいっぺんに失い、兄妹2人きりで戦禍を耐え生きようとしたストーリーなだけに、グッときます。

その他の印象的な楽曲

「七つの子」は、童謡や唱歌から文化庁と日本PTA全国協議会が選んだ「日本の歌百選」に選ばれるなど、広く親しまれている曲。作詞は野口雨情、作曲は本居長世で、1921年に発表されたと言われている。「火垂るの墓」では、夜中に「母ちゃん!」と泣き叫ぶ節子を清太があやす時に歌われるという使用方法で効果的に活用されています。

また、「軍艦マーチ(軍艦行進曲)」は、戦前から広く親しまれた行進曲。「火垂るの墓」では、防空壕の中にホタルの光が飛び交うのを見た清太が、父が巡洋艦摩耶に乗った観艦式を見た時のことを話す時に使われているなど、時代背景を表現する楽曲も巧妙に配置されています。

SNSやWEBで話題の投稿とコメント

イメージアルバムなので映画でそのまま使われている曲ではないのですが、火垂るの墓をイメージさせる曲に仕上がっています。何回聴いても「火垂るの墓」が連想させ、少し悲しさを出してくれるアルバムです。私は「母」の曲が一番好きで、亡くなっていく母が連想されます


引用:Amazon.co.jp

このレビューは、間宮芳生が作曲したイメージアルバムの楽曲が持つ、映画の世界観を呼び起こす力について語っています。特に「母」というタイトルの楽曲が印象的だという感想は、多くのファンに共通する想いでしょう。

購入当初、「サウンドトラック集」と銘打たれていたので、純粋な楽曲だけが入っていると思っていました。しかし聞いてみると、映画版の内容をCD向けに収録したもので、いわゆるドラマCDです。声優の声も音楽も、ビデオと比べ物にならない位、身近で、リアルに迫ってきます


引用:Amazon.co.jp

サウンドトラック集が実際にはドラマCD的な性格を持っていることを指摘したこの投稿は、火垂るの墓の音楽が映像と切り離せない関係にあることを示しています。音楽単体での魅力と、映像との組み合わせによる相乗効果の両方が存在することがわかります。

アニメーション映画『火垂るの墓』のアメリータ・ガリ=クルチの「Home, Sweet Home」を聴きながら見る最後のシーンは、何度見ても涙が止まらなくなる。こんな可哀想な映画は二度と見たくないと思うくらいだが、今現在でも、このような子どもたちは世界中にいるのだ


引用:武蔵野つれづれ草

埴生の宿の使用について言及したこのブログ投稿は、楽曲が持つ感情的なインパクトの大きさを物語っています。音楽が映画の主題である戦争の悲惨さと家族の絆を効果的に表現していることがうかがえます。

音楽制作の背景と制作秘話

1929年生まれの間宮芳生、作曲家が塊のように生まれた日本作曲家黄金世代に属する。同世代の作曲家は濃淡あるにせよ、戦争・終戦がその後の人生を決める重要な契機であったことは間違いないという背景があります。

間宮芳生自身が戦争を体験した世代であることが、火垂るの墓の音楽に深みと説得力を与えています。実際、高畑監督は作中、4歳の節子が厳しい状況の中でも努めて天真爛漫にふるまう姿を描いた。物語が絶望的になりすぎないよう、音楽も重石のような役割を果たしたのである。

映像はより雄弁になる。視覚と聴覚が同期して、頭の中で記憶として固着化する効果を狙って、間宮芳生は楽曲を制作しました。

現代への影響と音楽の遺産

2023年(令和5年)9月17日に、兵庫県立芸術文化センター KOBELCO(大ホール)にて、オーケストラ演奏と朗読、アニメ映画の静止画像で披露する音楽詩の公演が開催される。公演名「音楽詩『火垂るの墓』 -速水奨&石川由依」という形で、現代でも間宮芳生の楽曲は演奏され続けています。

ジブリの音楽は一般的に宮崎監督における久石譲だが、高畑監督における間宮もそれに比肩するほどの存在感があるとして評価されており、火垂るの墓の音楽は日本のアニメーション音楽史における重要な位置を占めています。

イメージアルバムとサウンドトラックの違い

火垂るの墓には2種類のアルバムが存在します。

  • 『火垂るの墓 イメージ・アルバム集』間宮芳生、佐藤允彦、吉川和夫の3人の音楽家が綴る「戦争」への思い、そして主人公の幼い兄妹・清太と節子の物語をイメージしたアルバム
  • 『火垂るの墓 サウンドトラック集』映画本編の音楽は間宮芳生が担当。このアルバムは、音楽だけでなくセリフや効果音も含め、映画の音をまるごと収めた文字通りのサウンドトラック盤

いわゆるサントラではなく、そのプロトタイプ的なイメージアルバムです。間宮芳生さんの映画使用曲の原型はもちろんのこと、他の二人の作家の曲も良いですという特徴があり、映画制作前の構想段階での楽曲も含まれています。

別の切り口から見る火垂るの墓の音楽の価値

一方「火垂るの墓」の音楽は、「となりのトトロ」とちょっと異なる映像から作曲家の〈顔〉が完全には見えてない。純粋に映像とストーリーが重く心に迫る。音楽は〈絵〉の重さを支えるプラットフォームとなっている印象だという分析があります。

これは間宮芳生が意図的に音楽を前面に出すのではなく、映像の感情的なインパクトを支える役割に徹したことを示しています。結果として、観客は音楽に気づかないまま深い感動を得ることができるという、職人的な仕事ぶりが評価されています。

今まで映画「火垂るの墓」において間宮音楽にあまり意識を向けてなかった人に間宮のプロフェッショナルな仕事が再確認できる機会だとして、近年改めてその価値が見直されています。

まとめ

火垂るの墓の音楽・曲・歌は、間宮芳生というマエストロによって丁寧に作り込まれた珠玉の作品群です。メインテーマからイメージアルバムまで18曲にも及ぶ楽曲が、映画の各場面を効果的に演出し、観客の心に深い印象を刻んでいます。

特に「埴生の宿」のように既存の楽曲を巧妙に配置することで、戦争の悲惨さと家族の絆という普遍的なテーマを音楽的に表現することに成功しています。間宮芳生の音楽は、映像に従属するのではなく、映像と一体となって感動的な体験を創り出している点で、日本のアニメーション音楽史における重要な遺産と言えるでしょう。

現代でも演奏会が開催されるなど、その価値は時代を超えて評価され続けており、火垂るの墓の音楽は今後も多くの人々の心を動かし続けることでしょう。

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