千と千尋の神隠しは、不思議な世界が舞台となっているジブリ作品です。ふとしたきっかけでトンネルをくぐり異世界に迷い込んでしまった、ごく普通の小学生の少女千尋のさまざまな体験が描かれています。
千と千尋の神隠しは異世界という独特の設定のため、どことなく不思議なキャラクターが多く登場しています。そして、物語の中では詳しい描写をあえてしていないため、謎が多いことも特徴だといえます。多くの不思議なキャラクターのうち「黒いやつ」とは一体何なのでしょうか?名前や正体について、詳しく解説をしていきます。
黒いやつの名前は?正体は?何をしているの?
黒いやつは、釜爺の仕事を手伝っている不思議な生き物です。まっ黒で丸く、とても小さい生きもので、身体の部分にはとげのようなものが付いています。おそらく顔と思われる部分に大きな2つの目玉があり、ぱちくりしています。
黒いやつはどこにいる?
ボイラーの釜へ石炭を持って運ぶことが主な仕事のようです。「千と千尋の神隠し」で、主な舞台となっている油屋は、神様のための温泉旅館です。地下にはお湯を管理するボイラー室があり、6本の手がある釜爺が日々忙しく働いています。
黒いやつの名前は?
黒いやつは、たくさんの人数がいて集団で動いています。名前は総じて「ススワタリ」です。それぞれの名前は付けられていないようです。釜爺は、ススワタリではなく「チビども」と呼んでいます。
ススワタリの正体は、お風呂を沸かした時に出た、ススのお化けだと思われます。作中では釜爺がススワタリたちに対して「働かないと、ただのススにもどってしまう」「魔法が消えてしまう」と言っています。
このことから、ススワタリとは、元々はススだということ、そして他の油屋の従業員たちと同じように、主人である湯婆婆に魔法をかけられていることがうかがえます。
黒いやつは何を食べている?
千と千尋の神隠しのススワタリは、食べ物は金平糖のようです。作中では、カラフルな金平糖をもらって喜んで持っている、とても微笑ましい様子が描写されています。
物語の最後で人間の世界に帰ることになった千尋のために、ススワタリたちが大勢でボイラー室に保管されていた千尋の靴と靴下を運んで持ってきてあげるシーンも印象的です。
まっくろくろすけとそっくりな黒いやつ!
黒くて小さくてトゲがあって動いていると言えば、同じくジブリ作品である「となりのトトロ」に出てくる「まっくろくろすけ」を思い浮かべる人も多いと思います。
まっくろくろすけとは?
主人公のサツキとメイは、田舎のお化け屋敷と呼ばれているほどの古い家に引っ越します。誰も使っていなさそうな扉を開けた瞬間、サツキとメイをめがけて、黒く小さい丸い物体のようなものが、大量にぶわっと出てくるシーンは非常にインパクトがあります。
まっくろくろすけというのは、黒い小さなものに対して、メイが名付けた名前ですが、実は正しい名前も作中に出てきています。
まっくろくろすけを捕まえようとして、真っ黒になったメイの手を見て、家の管理をしているカンタのおばあちゃんは「それはススワタリが出た」と教えてくれるのです。同じ名前なので、まっくろくろすけも、「千と千尋の神隠し」に出てくる黒いやつと同じだと考えられるのです。
ススワタリの違いとは?
名前は同じですが、良く見ると違っています。となりのトトロの「まっくろくろすけ」は、手足がなく、ふわふわと浮遊して移動しています。
一方、千と千尋の神隠しの「ススワタリ」は、細長い手足が生えています。ふわふわと飛ぶことなく、足でちょこちょこ歩いて移動していることが大きな違いです。キャラクターのイラストやグッズでは、手足の有無や、金平糖を持っているかどうかで区別をすることができますね。
黒いやつの声優は?
ススワタリは人気があるキャラクターですが、声優はクレジットされていません。
どんな声を出している?
ススワタリは、よく聞くと何とも言えない不思議な鳴き声のような小さな音を出していることが分かります。
実は合成音声
ジブリ作品の音楽を手掛けた久石譲さんによると、声優さんを起用しているのではなく、アフリカの狩猟民であるピグミー族が発した「ア」という声をサンプリングしたもの、だと説明されています。
合成された音声を使うことで、ススワタリが発する不思議な声が生まれていたのですね。