崖の上のポニョのお父さんが除草剤を撒いていたのは完全な誤解！
スタジオジブリの名作「崖の上のポニョ」で、宗介の母リサとポニョのお父さんフジモトが交わした印象的なやりとりをご存知でしょうか。リサが「どなたか存じませんが、ここで除草剤をまかないでください」と注意し、フジモトが「あ、いや。これは除草剤ではありません。過度の乾燥を避けるため、深い海のきれいな水をですね・・・」と説明するシーンです。
実は、フジモトは除草剤など全く撒いていませんでした。これは完全なる誤解だったのです。この記事では、なぜこのような誤解が生まれたのか、そしてフジモトの真の正体と目的について詳しく解説していきます。
フジモトが撒いていたのは「深い海のきれいな水」
海洋深層水による乾燥対策
フジモトが陸に上がった時に足元にまいていたのは、除草剤ではなく「深い海のきれいな水」で、乾燥しないように自分の足元に水をまいていたのです。
フジモトは元々人間でしたが、現在は海の住人として生活している魔法使いです。陸では「海洋深層水」という海の水を撒きながらでないと、肌が乾燥してしまい陸ではいられないという特殊な生態を持っています。
なぜリサは除草剤と勘違いしたのか
リサがフジモトの行為を除草剤撒きと勘違いしたのには、以下のような理由がありました：
- フジモトが背中にタンクを背負っていた
- 噴射ノズルで液体を撒いていた
- 奇抜な見た目で怪しい雰囲気を醸し出していた
- 一般的に見慣れない行動だった
地上にやってきたとき、ボンベのようなものを背負い自分の周囲に液体を撒いていたフジモト。リサはこれを見て彼が所かまわず除草剤を撒いていると勘違いし、不審者だと思っていたのは無理もないことでした。
フジモトの正体と海での生活
元人間から海の魔法使いへの転身
フジモトの過去について詳しく見てみましょう。宮崎監督の設定では、フジモトはジュール・ヴェルヌのSF小説「海底二万リーグ」に登場する潜水艦、ノーチラス号の唯一のアジア人でした。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 元の職業 | 潜水艦ノーチラス号の乗組員 |
| 時代背景 | 1865年頃（約150年以上前） |
| 現在の正体 | 海の眷属・魔法使い |
| 住居 | 海底の珊瑚の塔 |
| 妻 | グランマンマーレ（海なる母） |
半分人間、半分魔法使いの苦悩
興味深いことに、フジモトは「水の中では水泡が無ければ息ができず、陸の上では海洋深層水を撒かないと歩けない。人間を捨てたクセに海の眷属にもなりきれない」という中途半端な状態にあります。
この状況が、フジモトが陸上で海洋深層水を撒き続けなければならない理由なのです。完全に海の住人になったわけではなく、人間時代の名残りを残しているため、両方の世界で生きるために特別な対策が必要なのです。
リサとフジモトのやりとりに込められた深い意味
異なる世界の住人同士の誤解
このシーンは単なるコミカルなやりとりではありません。異なる世界に住む者同士の相互理解の困難さを象徴的に描いているのです。
リサは初対面の奇人フジモトを「除草剤はやめて」とビシッと迷惑がる度胸を見せ、その後「不気味男」とまで言っているように、フジモトを完全に不審者として認識していました。
人間嫌いになった理由
フジモトが人間嫌いになった背景には深い理由があります：
- 海が大好きでしたが、人間の生活によって海が汚染されていく現状を目の当たりにし、人間が嫌いになっていった
- フジモトのテーマ曲の歌詞には「心閉ざす恋するたび」というフレーズがあり、恋愛での辛い経験も影響している
- 人間の破壊性に愛想を尽かした結果
このような背景を持つフジモトにとって、リサからの「除草剤をまかないでください」という注意は、人間に対する不信感をさらに強める出来事だったかもしれません。
SNSやWEB上での話題と考察
ファンの間で話題になっている投稿
ファミリーアニメのヴィランは意外と「崖の上のポニョ」のフジモトが性癖なんですけど、これわかりみの人いるかな‥‥
この投稿は、フジモトの複雑で魅力的なキャラクター性を指摘したものです。単なる悪役ではなく、深い背景を持つキャラクターとしてファンに愛されていることが分かります。
ポニョ見る度にフジモトの生態？面白いなあ好きだなあってなる 水の中では水泡が無ければ息ができず、陸の上では海洋深層水を撒かないと歩けない 人間を捨てたクセに海の眷属にもなりきれない すき
引用：ジブリの森
この投稿では、フジモトの中途半端な存在としての魅力が語られています。完全に人間でも海の住人でもない、その曖昧さこそがフジモトの魅力なのです。
ポニョのフジモトさんについての変化 ポニョ見た初見の頃(ガキンチョ): 不気味だけどおもしれぇおっちゃんやな 現在:推しやんけ 推しやん
この投稿は、年齢を重ねることでフジモトの魅力に気づくファンの心境変化を表現しています。子供の頃は理解できなかった大人の事情や苦悩が、大人になって理解できるようになったのでしょう。
金曜ロードショー公式の解説
フジモト「これは除草剤ではありません」フジモトは、ジュール・ヴェルヌのSF小説『海底二万マイル』に登場する潜水艦・ノーチラス号の唯一のアジア人で、少年のころにグランマンマーレ（後に登場：ポニョのお母さん）と出会い、恋に落ちたそうです
公式アカウントも、この印象的なシーンと共にフジモトの背景を解説しています。このツイートは多くのファンの間で話題となり、改めてフジモトの複雑な設定に注目が集まりました。
フジモトの父親としての愛情
娘想いの優しい父親
「除草剤事件」以外でも、フジモトは父親として様々な愛情を示しています：
- ポニョの安全を最優先に考える行動
- 最終的にポニョの幸せを受け入れる決断
- 青いストライプジャケットをポニョの服と同じ色の赤いストライプに変え、歩み寄りを見せている
- 宗介に「ポニョをよろしく頼む」と託す場面
人間嫌いでありながら、娘の幸せのために最終的には人間である宗介を信頼するフジモトの姿は、多くの視聴者の心を打ちます。
現代の父親像との共通点
フジモトの姿は、現代の多くのお父さんたちにも共感される要素があります：
- 娘の交友関係への心配
- 娘に嫌われてしまう悲しさ
- それでも娘の幸せを願う気持ち
- 妻には頭が上がらない夫の姿
除草剤誤解事件から見えるテーマ性
外見による判断の危険性
リサがフジモトを不審者と判断したのは、その奇抜な外見と理解できない行動からでした。これは現代社会でも起こりがちな「外見による先入観」の問題を提起しています。
フジモトは決して悪意を持って行動していたわけではなく、むしろ自分の生存のために必要不可欠な行為をしていただけでした。しかし、その事情を知らない他者からは不審に映ってしまったのです。
コミュニケーションの大切さ
この誤解は、お互いの事情を説明し理解し合うことで解決できた問題でもあります。フジモトがもう少し説明上手であれば、リサももう少し話を聞く姿勢があれば、もっとスムーズな関係を築けたかもしれません。
宮崎駿監督の演出意図
ユーモアと深刻さのバランス
この「除草剤事件」は、一見するとコミカルなシーンですが、実は作品全体のテーマと深く関連しています。宮崎駿監督は、ユーモアを交えながらも以下のようなメッセージを込めていると考えられます：
- 異文化・異世界への理解の困難さ
- 環境問題への警鐘
- 家族愛の普遍性
- 偏見と理解の重要性
キャラクター設定の精巧さ
フジモトの「海洋深層水を撒く」という設定は、単なるギャグではなく、彼の複雑な立場を象徴する重要な要素です。人間でもなく完全な海の住人でもない中途半端な存在として、常に両方の世界で生きるための努力を強いられているのです。
まとめ：誤解から生まれた名シーンの真実
「崖の上のポニョ」でお父さんフジモトが除草剤を撒いていたというのは完全な誤解でした。実際には、海の住人として陸上で生活するために必要な海洋深層水を撒いていただけだったのです。
この誤解から学べること：
- 外見や行動だけで人を判断することの危険性
- 相手の事情を理解することの大切さ
- コミュニケーション不足が生む誤解
- 偏見を持たずに相手を理解しようとする姿勢の重要性
フジモトというキャラクターは、人間嫌いでありながら家族愛に満ち、不審者に見えながら実は純粋な魔法使いという、多面性を持った魅力的な存在です。「除草剤事件」は、そんなフジモトの複雑さを象徴する印象深いシーンとして、多くのファンに愛され続けているのです。
宮崎駿監督の巧妙な演出により、一見コミカルなこのシーンが、実は作品全体の深いテーマを内包していることがお分かりいただけたでしょうか。「崖の上のポニョ」を再び見る際は、このフジモトとリサのやりとりにも注目して、より深く作品世界を楽しんでいただければと思います。