富岳×量子コンピューター:次世代シミュレータの魅力と未来展望

quantum computing 量子コンピューターについて

量子コンピュータの革新的な技術は、未来のコンピューティングにおける可能性を切り開く鍵として期待されています。この分野で大きな注目を集めているのが、富士通の開発した「富岳」を活用した量子シミュレータです。このブログでは、富岳を用いた36量子ビットの量子シミュレータの開発について、その技術的詳細やアプリケーション開発への期待、そして未来への展望を解説していきます。さらに、富士通が目指す量子コンピュータの実用化の道筋や、富士フイルムとの共同研究なども紹介します。量子コンピュータの未来を形作る富岳の魅力をお楽しみください。

1. 富岳を活用した36量子ビットの量子シミュレータ開発

quantum computing

富士通は、富岳を活用して36量子ビットの量子シミュレータを開発しました。この量子シミュレータは、富士通のスパコン「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX700」に搭載されている「A64FX」という高性能なCPUを使用しています。

1.1 富岳のテクノロジーを活かした開発

この量子シミュレータでは、富岳に搭載されたCPUである「A64FX」を利用しています。A64FXは、高速な並列分散実行技術を活用することで、36量子ビットの量子回路プログラムを処理することができます。さらに、大阪大学とQunaSysが共同開発した「Qulacs」という量子シミュレータソフトウェアと組み合わせることで、他の量子シミュレータよりも約2倍の性能を実現しました。

1.2 量子コンピュータの実用化を見据えた開発

今回の量子シミュレータの開発を通じて、富士通は量子コンピュータの実用化を目指しています。現在の量子コンピュータは、NISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)と呼ばれる計算機であり、誤り耐性量子コンピュータの実現には100万量子ビットが必要です。しかし、量子ビット数が増えるにつれてメモリや計算回数も指数関数的に増加するため、通常のコンピュータでは30量子ビット程度までしか計算できません。

富士通のHPC技術を活用し、今回の36量子ビットの量子シミュレータの開発に成功したことで、将来的な実用化が見込まれる量子コンピュータのアプリケーションの先行開発が可能になりました。

1.3 未来へ向けての展望

富士通は、さらに大規模かつ高速な量子シミュレータの実現に向けた研究開発を進める予定です。2022年9月までには40量子ビットのシミュレータを開発する計画があります。また、金融や創薬などの分野への展開も視野に入れ、量子コンピュータの実用化を見据えた取り組みを加速させていきます。

富士フイルムとの共同研究や他社との連携にも積極的であり、量子アプリケーションの開拓や材料設計など、様々な領域での社会課題の解決に貢献していくことが期待されています。

富岳を活用した36量子ビットの量子シミュレータ開発を成功させた富士通は、今後も量子コンピュータの発展に向けたリーディングカンパニーとして取り組んでいきます。

2. 富岳技術の詳細とアプリケーション開発への期待

supercomputers

富岳は、理化学研究所と富士通によって開発された世界有数の高性能スーパーコンピュータです。その驚異的な技術力と特徴により、多くのアプリケーション開発への期待を集めています。

富岳の技術力と特徴

富岳は、世界的なスーパーコンピュータのランキングでも優れた成績を収めています。HPCGやGraph500などの計算能力指標においても、連続して第1位を獲得しています。この素晴らしい実績は、富岳の卓越したハードウェア技術とソフトウェアの性能向上によるものです。

さらに、富岳は通常のスーパーコンピュータとは異なり、市販のアプリケーションにも対応しています。特にAIや深層学習に関連する機能を拡充しており、幅広い分野での活用が可能です。

アプリケーション開発への期待

富岳の優れた性能と技術力を活かし、多様なアプリケーションの開発が期待されています。以下に、その一例をご紹介します。

  • 新型コロナウイルスの飛沫拡散予測や感染対策のシミュレーション解析
  • 医療や防災分野での研究開発支援
  • 量子シミュレータの開発による量子アプリケーションの拓展
  • 持続可能な世界の実現に向けた貢献

これらの取り組みにより、富岳は社会課題の解決に向けた重要な役割を果たしています。

また、富士フイルムとの共同研究により、スーパーコンピュータと量子コンピュータの分野での研究開発が進められています。この取り組みにより、より多くの課題の解決に向けた進歩が期待されています。

富岳の技術力とアプリケーション開発への期待は、社会の発展や持続可能な未来の構築に向けた重要な一歩です。今後もさらなる技術の進歩と研究開発の成果が期待されています。

3. 2022年9月の40量子ビットシミュレータ開発計画

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富士通は、2022年9月までに40量子ビットの量子シミュレータを開発する計画を発表しました。この計画は、量子コンピューティング技術の発展を推進し、社会課題の解決に貢献する革新的なアプリケーション開発を加速させることを目指しています。

3.1 量子シミュレータの規模拡大

開発される40量子ビットの量子シミュレータは、現在開発中の世界最速の36量子ビットシミュレータよりも大規模なものとなります。これにより、より複雑かつ高速な計算が可能となり、さらなる先行開発が期待されます。

3.2 富岳スーパーコンピュータの活用

量子シミュレータの開発には、富岳スーパーコンピュータのCPUである「A64FX」を活用しています。この最先端の技術を利用することで、高速な並列分散実行が可能となり、計算性能を最大化しています。

3.3 金融や創薬などへの展開

開発される40量子ビットの量子シミュレータは、金融や創薬など、さまざまな分野に展開される予定です。これにより、より高度な計算が可能となり、新たなアプリケーションの開発が期待されます。

3.4 量子コンピュータへの応用と社会課題解決への貢献

将来的には、開発される量子シミュレータの知見を蓄積し、量子コンピュータへの応用を目指しています。これにより、社会課題の解決に向けた新たな可能性が広がります。

3.5 富士フイルムとの共同研究

このプロジェクトでは、富士通と富士フイルムとの共同研究も進められます。材料分野における量子アプリケーションの研究を通じて、革新的な材料設計手法の実現に向けた取り組みが行われます。

目標を達成することで、富士通は多くの人々に量子シミュレータを利用してもらい、量子コンピューティング技術の普及と社会課題解決の推進を図ることができます。さらに、今後の技術の発展と共に、アプリケーション開発が加速することも期待されます。

4. 量子シミュレータを活用した複雑な社会課題の解決

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量子シミュレータは、古典コンピュータ上で動作することができる量子コンピュータのシミュレーション技術です。この技術を活用することで、複雑な社会課題に対する解決策を見つける可能性があります。

量子シミュレータの利用により、以下のような社会課題に対する解決策が見つかることが期待されます。

4.1 医薬品の創薬

量子シミュレータを使用して分子のシミュレーションを行うことで、新しい医薬品の創薬プロセスを高速化し、早期に有望な候補を見つけることができます。

4.2 材料開発

量子シミュレータを利用した材料の物性予測により、より効率的で持続可能な材料の開発が可能となります。例えば、電池の材料や太陽電池の効率向上などが挙げられます。

4.3 物流最適化

量子シミュレータを活用することで、複雑な物流ネットワークや配送ルートの最適化が可能となります。例えば、トラックの経路計画や在庫管理の最適化などです。

4.4 金融リスク管理

量子シミュレータを使用して大量のデータを高速に処理することで、金融市場のリスク管理や投資ポートフォリオの最適化を行うことができます。

以上のように、量子シミュレータの活用によって、従来の古典コンピュータでは解決が困難だった複雑な社会課題に対して、新たな解決策を見つけることが可能となります。

また、富士通は2022年9月までに40量子ビットの量子シミュレータを開発し、多くの人に利用してもらう計画を進めています。この規模と高速性を活かし、新たなアプリケーション開発が加速されることが期待されています。

5. 富士フイルムとの共同研究に向けた取り組み

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富士通は、富士フイルムとの共同研究を開始しました。この共同研究では、革新的な材料設計手法の実現を目指し、計算化学領域での量子アプリケーションの研究を行います。具体的には、分子の化学反応計算などで、量子コンピューティング特有のアルゴリズムを評価し、検討することが目的です。

量子シミュレータの提供と計算結果の検討

富士通は、この共同研究において、量子シミュレータを提供し、計算結果の検討と改善手法の検討を担当しています。量子シミュレータは、富士通の富岳を使用して、実際の量子コンピュータと同じ計算を行うことができるシステムです。富岳は高速で安定性があり、量子アプリケーションの研究において非常に強力なツールとなります。

量子化学計算の実施と改善手法の検討

富士フイルムは、量子化学計算の実施と計算結果の考察を担当します。量子化学計算は、材料の性質や反応を詳細に解析するための手法であり、材料設計において非常に重要な役割を果たします。富士フイルムは、自社が持つ材料に関する豊富な知識と経験を活かし、量子コンピュータを活用した革新的な材料設計手法を開発するために積極的に取り組みます。

共同研究の期間と重要性

この共同研究は、2022年4月1日から2023年3月31日まで行われます。富士フイルムは、量子コンピュータの活用による材料開発の可行性調査を進めるため、この共同研究を非常に重要視しています。両社の専門知識と技術の結集により、量子コンピューティングを活用した革新的な材料設計手法の実現が期待されます。

この共同研究は、量子アプリケーションの研究に貢献するだけでなく、量子コンピューティング技術の発展にも寄与することが期待されます。富士通と富士フイルムの共同研究は、材料設計の重要性を考える上で注目されるだけでなく、量子コンピュータの応用分野の進化にも大きく貢献するものと期待されます。今後の研究の進展に期待が高まります。

この共同研究により、富士フイルムの材料に関する知見と富士通の量子シミュレータの技術が組み合わされ、新たな発見や革新的な材料の開発が可能となります。富士フイルムと富士通の共同研究は、材料設計の重要性を考える上で注目されるだけでなく、量子コンピュータの応用分野の進化にも大いに貢献するものと期待されます。今後の研究の進展に期待が高まります。

まとめ

富士通の富岳を活用した量子シミュレータ開発は、量子コンピューティング技術の発展に大きな貢献をしています。富岳の高速な並列分散実行技術とA64FXという高性能なCPUを活用し、36量子ビットの量子回路プログラムを処理することができる量子シミュレータが開発されました。また、2022年9月までには更なる規模拡大として40量子ビットのシミュレータの開発も予定されています。

これにより、量子シミュレータを活用したアプリケーション開発の可能性も広がります。具体的には、医薬品の創薬や材料開発、物流最適化、金融リスク管理など、様々な社会課題の解決に向けた取り組みが期待されています。

また、富士通と富士フイルムの共同研究も進められており、量子アプリケーションの研究や材料設計の革新的な手法の実現に向けた取り組みも進んでいます。富士通は量子コンピューティング技術の普及と社会課題の解決に貢献すると共に、量子シミュレータを多くの人に利用してもらうことで、さらなるアプリケーション開発を加速させることも目指しています。

量子コンピュータの発展は、社会の持続可能な未来の構築に向けた重要な一歩です。富士通の量子コンピューティング技術の進化とアプリケーション開発の成果に期待が高まります。将来的には、より大規模かつ高速な量子シミュレータが実現し、様々な分野での革新的な取り組みが加速されるでしょう。

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