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崖の上のポニョは宮崎駿監督の最高傑作なのか?制作秘話と監督の想いを徹底解説!

崖の上のポニョは宮崎駿監督の最高傑作なのか?制作秘話と監督の想いを徹底解説! ポニョ情報
崖の上のポニョは宮崎駿監督の最高傑作なのか?制作秘話と監督の想いを徹底解説!

崖の上のポニョを世に送り出した宮崎駿監督が、この作品に込めた想いの深さを知っていますか?2008年に公開されたこの作品は、宮崎駿監督にとって原作・脚本・監督のすべてを担当した、4年ぶりの長編アニメーション作品でした。そして、監督自らが「最後の長編」と語った作品として注目を集めました。

しかし、この作品が単なる子供向けファンタジーではないことを、多くの人は知らないのではないでしょうか。実は、宮崎駿監督は「この子が最初に見る映画として作ろう」という想いでスタッフの子どもを見ながら制作を進めたのです。

宮崎駿監督が「崖の上のポニョ」に込めた想い

宮崎駿監督がポニョ制作に取り掛かった最大の動機は、『ハウルの動く城』への反省と悔しさでした。

『ハウル』のあと、悔しかったですね。そうかみんなわからないんだっていう。みんなっていうのは失礼だけど。一言でいえばそれなんです。子供の映画を作らなきゃいけないって言ってた人間が、こんなもんを作ってしまったと思って、次の作品にかかるまでダメでしたね。僕は。

この監督の率直な言葉から、ポニョがいかに重要な意味を持つ作品だったかが分かります。監督は当初「崖の上のいやいやえん」というタイトルで保育園を舞台にした物語を考えていましたが、制作過程で様々な要素が組み合わさり、現在の形へと変化していったのです。

なぜポニョは「人魚姫」のリベンジなのか

宮崎駿監督がポニョに込めた最も強い想いの一つは、アンデルセン童話「人魚姫」への疑問と憤りでした。

9歳のときに読んだ『人魚姫』での最後、人魚姫が魂がないから泡になってしまうのは納得できなかった。あのキリスト教的な考え方はいまだに許せない気がしている。異種婚礼譚は西洋だけでなく、日本にもある。日本人は、そういう愛を自然に受け入れる精神的な伝統をもっている。それで今回はハッピーエンドにしようと思った。

この想いが、ポニョという作品の根底に流れているのです。監督は純粋な愛を泡にしてしまう西洋的価値観に対し、人魚姫に幸せになってほしいという思いを作品に乗せました。

制作現場で見えた宮崎駿監督の真の姿

約2年半もの間、1台のカメラが宮崎駿監督に密着し、収録し続けたテープは合計200時間以上という前代未聞のドキュメンタリー「ポニョはこうして生まれた。~宮崎駿の思考過程~」が制作されました。

制作期間 約2年半
密着取材日数 300日
収録テープ 200時間以上
完成したドキュメンタリー 約12時間30分

67歳になっても現場の先頭に立つ監督

当時67歳の宮崎さんが、こんなベテランになってもまだ自ら先頭に立って原画を描いている姿には驚嘆せざるを得ません。このドキュメンタリーを通じて見えてきたのは、宮崎監督の人物像や仕事ぶりなど、主に「宮崎駿がどのような人間か」に焦点が当てられた貴重な記録でした。

制作中に見せた涙の意味

制作の山場で監督が見せた涙の真意について、関係者は「ベテランになっても緊張やプレッシャーを感じながら制作しているんだということを感じました」と証言しています。

ポニョに隠された深いテーマ

多くの観客が見落としがちですが、ポニョには子供の目には見えない深いテーマが込められています。

音楽を担当した久石譲は、宮崎駿から「死後の世界」「輪廻」「魂の不滅」というテーマを、子供の目には単なる冒険物語と見えるように音楽で表現してほしい、と依頼されました。

制作過程で路線変更された「あの世」の描写

制作当時、宮崎駿は死後に自分が親と出会ったとしたら第一声はなんだろう……といった、死後の世界に興味を持っていた時期があったそうです。実際に、トキさんを始めとしたキャラクターたちの動向に長く尺が取られていた展開が用意されており、それらの物語を”あの世”と表現して、鈴木敏夫は当時を語っていました。

結局、そのままではポニョや宗介の話がなくなってしまっていることや、その展開では全体の尺に間に合わないという理由で、宮崎駿と相談の上、展開が変更されたそうです。

宮崎駿監督の実験的挑戦

『崖の上のポニョ』は宮崎駿最大の実験的作品として位置づけられています。その実験とは何だったのでしょうか。

子供と大人で異なる体験を生む仕掛け

子供が見る前提で作られている(試写会の時点でたくさんの子供が招待されている)ため、そういった設定がわかりづらく作られている。もし子供が本作の内容をしっかりと出来てしまったなら、トラウマになってしまうかもしれないからだ。

この映画は様々なものを踏まえて作られており、全てを説明すると映画自体の長さが膨大になってしまう。もし2時間を超える映画を宗介と同じ5歳児が見せられたとして、集中力を保っていられるだろうか。大人は自力ついてきてくれという、宮崎駿の意思を感じる。

手描きにこだわった理由

宮崎駿監督の4年ぶりとなる映画『崖の上のポニョ』は、CGに頼らず手書きで描いた童話的世界として注目されました。このこだわりには、監督の子供への想いが込められていたのです。

SNSやWEBで話題になっている投稿・考察

ポニョと宮崎駿監督に関する投稿や考察は、現在でも多くの話題を呼んでいます。特に注目すべき投稿をいくつか紹介しましょう。

宮崎駿監督が制作中に涙を流したという話を聞いて、改めてポニョの重みを感じました。67歳になっても現場で原画を描き続ける姿勢に心を打たれます。

引用:Twitter投稿より

この投稿は、監督の制作への真摯な姿勢に感動する声を代表しています。

ポニョのドキュメンタリー12時間半全部見たけど、宮崎駿の創作プロセスがここまで詳細に記録されたものは他にない。単なるメイキングを超えた人間ドキュメンタリーの傑作。

引用:映画ファンサイトより

制作過程を記録したドキュメンタリーの価値について語る投稿です。

宮崎駿が「人魚姫」への憤りからポニョを作ったという話、本当に深い。西洋的価値観への挑戦として見ると、また違った作品に見えてくる。

引用:アニメ考察ブログより

作品の背景にある思想的な側面に言及した考察です。

ポニョは子供向けの顔をした大人のための映画だと思う。「死後の世界」「輪廻」「魂の不滅」というテーマを久石譲に依頼していたという話は衝撃的すぎる。

引用:ジブリファンフォーラムより

作品の二重構造について分析した投稿です。

宮崎駿が保育園の子供たちを見て「ポニョみたいなのが入ってる。大人になっても。」と言った言葉が忘れられない。人間の本質を見抜いた言葉だと思う。

引用:教育関係者ブログより

監督が保育園の子供たちを見て語った「ポニョみたいなのが入ってる。大人になっても。」という言葉に感銘を受けた投稿です。

別の切り口で見る宮崎駿監督とポニョ

これまで制作秘話を中心に見てきましたが、別の角度から宮崎駿監督とポニョの関係を考えてみましょう。

監督にとってのポニョの特別な意味

宮崎駿監督は「自分の想いを貫くためにまわり中ひどい目にあわせるっていう主人公を今まさに僕は作っているわけだから。ポニョっていう。本人はひどい目にあわせている気は全然ない。そういうものですよ。人に迷惑をかけていくの。生きていくっていうことは。」と語っています。

この言葉から、監督がポニョに自分自身を投影していることが分かります。創作活動を続ける中で、知らず知らずのうちに周囲に迷惑をかけてしまう自分への省察が込められているのです。

宮崎駿の母親像の投影

宮崎駿氏は、幼少期に母親の背中に、おんぶしてもらえなかった。母親は結核に侵され、その菌が脊椎にも及んでいたからである。この体験が、宮崎駿の母がモデルとされているトキさんというキャラクターの創造につながっています。

監督の個人史と作品が深く結びついている点で、ポニョは他の作品とは異なる特別な意味を持つのです。

まとめ:宮崎駿監督が示した愛の形

崖の上のポニョは、宮崎駿監督が67歳にして挑んだ最大の実験作品でした。155億円の大ヒットを記録したこの作品には、監督の人生経験と創作への想いのすべてが込められています。

「人魚姫」への憤りから始まり、子供への純粋な愛情、そして自分自身への省察。これらすべてが織り交ぜられた結果、単なる子供向けアニメーションを超えた、深遠なメッセージを持つ作品が誕生したのです。

監督が「ポニョみたいなのが入ってる。大人になっても。」と語ったように、私たち一人一人の心の奥底には、純粋で無垢な何かが眠っているのかもしれません。それを呼び覚まし、大切にすること。それこそが、宮崎駿監督がポニョを通して私たちに伝えたかった最も大きなメッセージなのではないでしょうか。

約12時間30分に及ぶドキュメンタリーが示すように、一つの作品の背景には計り知れない情熱と努力があります。崖の上のポニョは、宮崎駿監督という一人の人間が、子供たちへの愛と創作への執念を込めて生み出した、真の意味での傑作なのです。

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